受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

his_b_photo09

高林さわ(たかばやしさわ)

1945 年5月3日生まれ。千葉県出身。中学教師、塾自営の後引退。1981年「小説現代新人賞」受賞。

第5回受賞作

バイリンガル

his_b_img09

2013年5月 光文社

アメリカ人の夫と離婚した永島聡子は、日本に帰国し、予備校の講師をしながら一人息子を育てた。ある日、沢田仁奈という女性が聡子のもとを訪ね、自分の両親が亡くなるきっかけとなった、30年前にインディアナ州ラフィエットで起きた誘拐殺人事件の内容を話して欲しいと頼む。仁奈には親切にしなければと思いつつも、乗り気になれずにいた聡子だが、仁奈の日本での生い立ちや生活を聞き、事件の全貌を語り出す。

著者よりひとこと

「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という大きな賞をいただくことができまして、ほんとうにありがたく、感謝しております。
島田先生はじめ、選んでくださった皆様に、心より御礼申し上げます。30年前に賞をいただいた後、長いブランクがありましたが、諦めずに書き続けてよかったです。書く場所を再び与えていただいたのですから、頑張らねば、と思っております。どうもありがとうございました。。(2012年10月)

近 況

 七十歳過ぎても厄年はあるのでしょうか。去年はひどかったです。
 怪我のあと、歩けないのは不自由だろうと、知り合いのプーさんから中古車を安く買うように迫られたり、気合を入れて買った品物を置き引きされたり、腕にはめていた時計を紛失したり。あろうことか、ジイサンのストーカーに追いまわされたり。その他、いろいろありました。
 車は、前から考えていたので免許証を返納。新手の詐欺の難を逃れました。置き引きは交番で取り調べを経験し、ストーカーは徹底的に無視。
 そんな毎日でしたが、九十八歳の母はなんとか頑張っています。寝たきりですが、食事は車椅子で食堂へ。わたしが食べさせたほうが食欲が出るというので、介助に行っています。でも、食べてるときに脳虚血もどき、脳梗塞もどきの症状を呈することがあり、そのたびにギョッとなったりオロオロしたり。延命措置はしない、という一札を入れてあるので、万が一のときには受け入れざるを得ないことになります。携帯電話に連絡が入り次第駆けつける、という約束です。夜中にリリーンという音で目が覚め、夢か、とホッとすることも。
 小説は、二作品を別々の出版社さんに読んでいただいています。昨年よりは前進しているでしょうか。闇夜が明けて、現在夜明け前のような状態。と考えてもいいかなあ、なんて思っています。(2017年3月31日)

著作品一覧

バイリンガル(2013年5月 光文社)

his_b_photo08

知念実希人(ちねんみきと)

1978年10月12日沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒。2004年から医師として勤務。日本内科学会認定医。

第4回受賞作

誰がための刃 レゾンデートル

tagatame_print_cov_120402

2012年4月 講談社

自らが末期癌に冒されていることを知った若手の外科医、岬雄貴は、自暴自棄となり殺人を犯してしまう。そのことがきっかけで、連続殺人鬼「ジャック」と接触を持った雄貴は、ジャックの思想に感化され、その共犯となる。偶然助けた少女、沙耶と心を通わすうちに、自らの行動に苦悩するようになる雄貴。「ジャック」はなぜ殺人を繰り返すのか、少女はなぜ追われるのか。残り少ない命をかけ、雄貴は少女のために戦いに挑む。

著者よりひとこと

このたびは福山ミステリー文学新人賞という素晴らしい賞を受賞させて頂き、島田先生を初め関係者の皆様には心より感謝しております。
応募の際は、この作品が「本格」を求めている福ミスに相応しいものなのか何日も迷いましたが、福ミスの選考方法や最終選考まで残れば島田先生に選評を頂けることに惹かれ、思い切って応募しました。受賞を知った時はすぐには信じられなくて一瞬呆然とした後、天にも昇るような気持ちになりました。
今回の作品は8年間の医療現場での経験を詰め込むことで、末期癌に冒された主人公から見た世界、そしてその生き様をできるだけリアルに描くように努めました。読んでくださった皆様に楽しんで頂ければ幸いです。
今後は賞の名に恥じぬよう精進し、読者の方に喜んで頂ける小説を書いてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(2012年5月)

近 況

先日、取材ではじめて鞆の浦に行った。これまで何度も行こうと思いつつ、執筆スケジュールの都合で断念していたが、出版社に我が儘を言い、なんとか実現にこぎつけた。仙酔島で野生の狸に会うなど、鞆の浦の情緒をたっぷりと味わうことができ、大満足だった。というわけで、現在執筆中の作品では鞆の浦、福山駅周辺、そして広島市内を舞台の一部にするつもりだ。思えば五年前に福ミスを受賞させて頂いてから、二十作近くの作品を刊行してきたが、未だに福山を舞台にした作品は発表出来ていなかった。心苦しく思っていたとき、ふと次回作の一場面が鞆の浦のイメージにぴったりだと思い至ったのだ。ぜひ福山そして広島の魅力を少しでも多くの方に伝えることができる作品にしたい。
 この五年間で多くの読者に作品を読んで貰えるようになってきた。それもすべて、福ミスでデビューすることが出来たからだ。その恩を少しでも返せるよう、福山の魅力を発信しつつ、多くの人に楽しんでいただける作品を書いていきたい。(2017年3月31日)

著作品一覧

誰がための刃 レゾンデートル(2012年4月 講談社)
ブラッドライン(2013年7月 新潮社)
優しい死神の飼い方(2013年11月 光文社)
天久鷹央の推理カルテ(2014年10月 新潮社)
仮面病棟(2014年12月 実業之日本社)
天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟(2015年3月 新潮社)
改貌屋 天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ(2015年5月 幻冬舎)
天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア(2015年6月 新潮社)
黒猫の小夜曲(セレナーデ)(2015年7月 光文社)
スフィアの死天使 ―天久鷹央の事件カルテ―(2015年8月 新潮社)
神酒クリニックで乾杯を(2015年10月 KADOKAWA)
天久鷹央の推理カルテⅣ 悲恋のシンドローム(2016年2月 新潮社)
淡雪の記憶 神酒クリニックで乾杯を(2016年4月 角川文庫)
白銀の逃亡者(2016年6月 幻冬舎)
幻影の手術室 ー天久鷹央の事件カルテー(2016年9月 新潮社)
天久鷹央の推理カルテ 1巻(コミック)(2016年9月 新潮社)
あなたのための誘拐(2016年9月 祥伝社)
時限病棟(2016年10月 実業之日本社)
天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト(2017年3月 新潮社)
天久鷹央の推理カルテ 2巻(コミック)(2017年3月 新潮社)
屋上のテロリスト(2017年4月 光文社)
崩れる脳を抱きしめて(2017年9月 実業之日本社)
螺旋の手術室(2017年10月 新潮社)
甦る殺人者-天久鷹央の事件カルテー(2017年11月 新潮社)

原進一さん顔写真トリミング

原進一(はらしんいち)

1948年生まれ。兵庫県神戸市出身。東京外国語大学卒。卒業と同時に全日空(株)に入社し,東京・大阪・福岡・鹿児島・オランダなどで勤務の後,2008年に定年退職。現在は無職で東京都在住。

第8回受賞作

アムステルダムの詭計

%e3%82%a2%e3%83%a0%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%ab%e3%83%80%e3%83%a0%e3%81%ae%e8%a9%ad%e8%a8%88%e6%9b%b8%e5%bd%b1

2016年4月 原書房

戦後の日本犯罪史上、最も鮮烈な印象を残したのは1968年に起きた「三億円事件」であろう。しかし、日本人だけでなく広く世界中の人々の注目を集めた点では、1965年に起きた「アムステルダム運河殺人事件」が勝っている。1965年夏、アムステルダムの運河に浮かんだ日本人死体は頭部・両脚・手首が切断され、胴体だけがトランクに詰められて発見された。当時、新進推理作家として文壇に登場した松本清張氏は本事件を小説化するに当たって綿密に取材し、被害者が替え玉であるとの説を唱えた。しかし、しばらくして自説を撤回するに至る。ヨーロッパの警察機構に加えインターポールも捜査に参画したが、事件は迷宮入りの様相を呈する。(実際に発生した事件を基にしたフィクション)

著者よりひとこと

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」には、その独特な選考手法に注目していた。それは「敗者復活」のルートが用意されていたからである。選考過程が単にふるいに掛けようとするものではなく、作者の懸命さを見逃すまいとする姿勢に島田荘司先生をはじめ選者の人々の心意気が垣間見え、憧れを抱いていた。「もの書き」はスポーツ選手と同様で、試合に出場することで成長できると確信している。ピッチに立たせてもらえたことを大変光栄に思う。(2016年5月)

近 況

 福ミス新人賞の受賞は、様々な変化をもたらしてくれた。母校や会社のOB会に招かれ、懐かしい面々に受賞報告の機会を得たのは喜びだった。昨年5月の表彰式では、敬愛する島田先生の謦咳に触れ「本の売れ行きなど気にせず、次回作に集中的に取り組むように」と助言を頂いた。 受賞の歓喜は家庭にも波及した。いつも口達者の妻に寄切られていたが、土俵際で咄嗟にうっちゃりの文句が口をつく。
「お前も賞をとってみろ」
 これが黄門様の印籠のように効果てきめんで、即座に家内が意気消沈し形勢逆転する。ただ敵も負けん気の強さから、逆襲に向けて爪を研ぎはじめた。
 文章創作では太刀打ちできないと諦め、別分野に照準を絞り受賞を目指す。少女時代(ンじゅう年前)に憧れた墨習字を再開し「すぐ受賞する。題字を書いてあげるから、早く次のミステリーを創れ」と責め立てる。その自信はどこから来るのか、と思うが口には出さない。家庭内では受賞の威光は長続きしない。(2017年3月31日)

著作品一覧

アムステルダムの詭計(2016年4月 原書房)

his_b_photo04

松本寛大(まつもとかんだい)

1971年生まれ。北海道札幌市出身。札幌市在住。

第1回受賞作

玻璃の家

his_b_img04

2009年3月 講談社

アメリカ・マサチューセッツ州の小都市。そこにはかつてガラス製造業で財を成した富豪が、謎の死を遂げた廃屋敷があった。11歳の少年コーディは、その屋敷を探索中に死体を焼く不審人物を目撃する。だが、少年は交通事故にあって以来、人の顔を認識できないという「相貌失認」の症状を抱えていた。視覚自体に問題はなく対象の顔かたちが見えてはいるものの、その識別ができないのだ。犯人は誰なのか?州警察から依頼を受けた日本人留学生・若き心理学者トーマは、記憶の変容や不完全な認識の奥から真相を探り出すために調査を開始する。真相に肉迫するにつれ明らかになる、怪死した富豪一族とこの難事件との忌まわしき因縁…。

著者よりひとこと

本作は、少しでも新しいミステリーをという模索から生まれたものです。力が及ばなかった部分が多々あることは自覚しておりますが、栄えある福山ミステリー文学新人賞を受賞できたのも、そうした様々な模索の痕跡を評価していただいたからかもしれません。
今後とも、ミステリーのさらなる未来へ向けての挑戦心を忘れずに、執筆に励みたいと思います。(2011年6月)

近 況

 昨年は評論や講演などの活動が多い年でした。
 児童文学作家山中恒と大林宣彦監督の評論を書いた際に小樽文学館で取材させていただいたのですが、そのご縁もあって、泡坂妻夫展の開催にあわせて講演をおこないました。ご遺族のかたに喜んでいただけたのは幸いでした。
 また、国産ハードボイルドの嚆矢、高城高作品の書評や評論を手がけ、さらにはご本人とともに講演会にも参加。ほかにも、ホラー小説の解説を書いたり、新聞や雑誌に書評、映画評を書いたりしています。我が家の書籍は決して少なくない分量で、狭い家をさらに狭くしているのですが、評論の仕事が増えたことで「参考資料として役に立っているじゃないか」と家族にいいわけしています(いいわけになっていないかもしれませんが)。
 なお、新作長編の執筆もいよいよ佳境に入りました。あまりお待たせしないよう、努力します。どうぞよろしくお願いいたします。(文中敬称略)(2017年3月31日)

著作品一覧

玻璃の家(2009年3月 講談社)
クトゥルフ・ワールドツアー クトゥルフ・ホラーショウ(2011年2月 アークライト:共著)
妖精の墓標(2013年3月 講談社)
クトゥルフ神話TRPG クトゥルフカルト・ナウ(2013年3月 エンターブレイン:共著)
北の想像力 《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅(2014年5月 寿郎社:共著)
クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2015(2015年9月 エンターブレイン:共著)
クトゥルフ神話TRPG モジュラークトゥルフ(2016年11月 エンターブレイン:共著)

danshi-111x135-111x135[1]

松本英哉(まつもとひでや)

1974年生まれ。兵庫県出身。兵庫県在住。

第8回優秀作

僕のアバターが斬殺ったのか

ƒAƒn?ƒ^[_ƒJƒn?[_OL

2016年5月 光文社

神部市旧居留地にある古ぼけたビルの一室。そこは仮想空間『ジウロパ世界』と現実が並存する特殊な場所であった。高校生の日向アキラは、自分のアバターを操作し、遠く離れた家からそのビルの一室に遠隔アクセスした。そこで待っていたのは、セルパンという名のアバターだった。短いやりとりののち、ふたりは口論となり、ついにはアキラの操るアバターがセルパンの喉もとを刀で掻っ切ってしまう。翌日、そのビルの部屋で若い男の遺体が発見された。男は何者かに喉もとを切られ、無惨にも殺されていた。しかもその男は、昨夜セルパンを操作していたプレイヤーであるらしかった。アキラは自問する。「あれはぼくがやったのか?」。果たして男を殺害したのは、本当にアキラなのか。その答えを探るべく、アキラは行動を開始した。

著者よりひとこと

もう十年近く前になりますが、島田荘司先生のサイン会にて先生からかけていただいた温かい言葉は、執筆を続ける上でいつも大きな励みとなりました。また、そのサイン会直後に立ち上がった“福ミス”は、ずっと進むべき道しるべでした。このたび「優秀作」という身に余る評価を賜り、言葉にできないほどの喜びを感じております。再び背中を押してくださった島田荘司先生と“福ミス”関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。(2016年5月)

近 況

 昨年の福ミス表彰式・出版記念の集いにて、たくさんの温かいお言葉をいただき、作家としての第一歩を踏み出すことができました。新たなスタートを切る場として、このうえなくぜいたくな時間を過ごさせていただきました。時間が経つにつれ、そのことをよりいっそう実感しています。ありがとうございました。
 そのときのデビュー作『僕のアバターが斬殺ったのか』が出版されて早一年。今は二作めを執筆中です。その内容はというと、前作と同じく〝やや近未来的〟なゲームアプリを主軸に据えた本格ミステリーです。ですが前作の続編というわけではなく、新たな登場人物たちが活躍します。人気女子高生の不可解な死を巡り、ひきこもり女子高生の依頼を受けて、ちょっと風変わりな性格の女子高生探偵が〝デジタル〟な謎に挑みます。早い話、女子高生たちが繰り広げる〝謎と冒険と友情の物語〟です(好奇心旺盛な男子も登場します)。完成までもうしばらくかかりそうですが、どうぞご期待ください。(2017年3月31日)

著作品一覧

僕のアバターが斬殺ったのか (2016年5月 光文社)

his_b_photo01

深木章子(みきあきこ)

1947年8月2日生まれ。東京都出身。東京都在住。

第3回受賞作

鬼畜の家

his_b_img01

2011年4月 原書房

「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。その母親も自動車もろとも夜の海に沈み、末娘だけが生き残ることになった。 母親による巧妙な殺人計画、娘への殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、娘の口から明らかにされてゆく。

著者よりひとこと

人は実現可能性のない夢は見ない……この言葉を知ってはいましたが、こんなにも早く夢が実現するとは思いませんでした。
人生は本当に何が起きるかわからないもので、体が不自由になり、60歳で現役を退くまでは、推理小説とはあくまでも「読む」もので、「書く」などという離れ技は、自分とは別世界の特殊な頭脳の持主がなさることだと思い込んでおりました。
深木章子
振り返れば、昨年の10月、福ミス受賞内定の電話をいただいて以来、未知との遭遇の連続です。何とか、無事この日を迎えることができましたが、今後の厳しい道程を考えますと、身が引き締まると同時にそら恐ろしい気がいたします。
こんな頼りない新人作家ではございますが、あたたかい目で見守っていただけましたら幸いです。どうか、宜しくお願い申し上げます。(2011年5月)

近 況

 月日の経つのは本当にアッという間で、作家生活も7年目に入りました。あらゆる意味で人生の新しい暦が始まった還暦から数えても早10年。今年で古稀を迎える年齢になりました。身体的にはあちこちガタが来ているものの、ここまでなんとか平穏に生きて来られたことを、つくづくありがたいと思うこの頃です。
 さて、この1年での個人的ビックニュースといえば、やはり初孫の誕生でしょうか。猫の天下だった我が家に突然闖入者が出現したら、猫と赤ん坊の壮絶なバトルが始まるのではないか? そんな心配は杞憂に終わり、いまや孫の体重は猫たちの2倍。いたって平和な光景が繰り広げられています。
 肝心の執筆の方も、年に1作ペースを維持できるよう、精いっぱい頑張っておりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。(2017年3月31日)

著作品一覧

鬼畜の家(2011年5月 原書房/2014年4月 講談社)
衣更月家の一族(2012年3月 原書房/2015年3月 講談社)
螺旋の底(2013年3月 原書房)
殺意の構図 探偵の依頼人(2013年12月 光文社/2016年9月 光文社)
敗者の告白 弁護士睦月怜の事件簿(2014年10月 KADOKAWA)
交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー(2015年6月 光文社)
ミネルヴァの報復(2015年8月 原書房)
猫には推理がよく似合う(2016年9月 KADOKAWA)
敗者の告白(2017年8月 角川書店)
消人屋敷の殺人(2017年10月 新潮社)

his_b_photo05

水生大海(みずきひろみ)

三重県出身、愛知県在住。2014年「五度目の春のヒヨコ」で第67回日本推理作家協会賞(短編部門)候補。

第1回優秀作

少女たちの羅針盤

his_b_img05

2009年7月 原書房

短編ホラー映画主演女優としてロケ現場にやってきたマリア。そこで監督に意味ありげに言われる。「きみ、羅針盤にいた子だよね」と。マリアに忘れさりたい過去が甦る。伝説の女子高生劇団「羅針盤」。監督はさらに言う。「一人、死んでるんだよね」 羅針盤はメンバーの死と共に活動を停止した。マリアが殺したのだった。監督はいったいどこまで知っているのか。疑心はふくらむ。 そして物語は四年前、羅針盤の誕生と死へと移ってゆく。
本作は、2010年に映画化が決定され、福山市でロケを行い、2011年5月に全国公開されました。
また、本作の続編となる『かいぶつのまち』も2010年7月に原書房より出版されています。

著者よりひとこと

このたびは、第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選出していただき、ありがとうございます。島田先生をはじめ、事務局の皆さま、関係者の皆さまには大変お世話になりました。
最終選考に残れば島田先生に読んでいただくことができる、そう思ってお送りした作品が思いも寄らない栄誉を受け、今もまだ戸惑いの中におります。
小学校のころ、家が遠かったわたしは友人たちと別れた後、図書室で借りた本の続きを空想しながら通学していました。なかでもミステリーは謎あり冒険ありと魅力に満ちた物語でした。あのころのように、続きが気になるワクワクとした物語を作り出し、誰かに楽しんでいただきたいと考えております。
今後も精進を続け、読む人の心をとらえて離さない物語を作り続けたい、書き続けることで優秀作受賞にお応えしたい、そう思っております。(2009年3月)

近 況

 自分のサイト代わりに、Facebookページを作っています。よかったら覗いてみてください。Facebookをお持ちの方、「いいね」を押してくださると新しい情報がお届けできます。アドレスはhttps://www.facebook.com/mizukihiromi/ です。
 所謂ホームページと違って使いづらいところもあり、特に著作一覧などの基本情報がすぐにわからないので自サイトを作ろうかとも思いましたが、時間と手間に負けてそのままになっています。ちなみに著作一覧は「ページ情報」にあります。
 この著作一覧に記入をしていて気付いたのですが、雑誌掲載短編がしばらくありませんでした。連載して連作短編にすることが多かったからですね。今年は何本か、短編を書く予定です。独立した短編もあれば、連作だけど不定期というものも。そちらは、社会保険労務士、朝倉雛子の物語です。「オール讀物」にて不定期掲載。今年中に本になる予定で、社会派です。資料の咀嚼で死にかけてます。
 いやいや本格じゃなきゃ、という貴兄には、2月に出した『だからあなたは殺される』を強くお勧めします。二度読み必至ですよ。(2017年3月31日)

著作品一覧

少女たちの羅針盤(2009年7月 原書房/2011年4月 原書房/2012年9月 光文社)
かいぶつのまち(2010年7月 原書房/2013年10月 光文社)
善人マニア(2011年8月 幻冬舎)
夢玄館へようこそ(2011年11月 双葉社/2015年3月 双葉社)
転校クラブ 人魚のいた夏(2012年3月 原書房)
てのひらの記憶(2012年10月 PHP研究所)
熱望(2013年4月 文藝春秋)
エール!2 収録「五度目の春のヒヨコ」(アンソロジー 2013年4月 実業之日本社)
※同短編は、ザ・ベストミステリーズ2014 (推理小説年鑑)  2014年5月 講談社にも収録
猫とわたしの七日間 収録「まねき猫狂想曲」(アンソロジー 2013年11月 ポプラ社)
転校クラブ シャッター通りの雪女(2014年3月 原書房)
ランチ合コン探偵(2014年9月 実業之日本社)
消えない夏に僕らはいる(2014年10月 新潮社)
招運来福! まねき猫事件ノート(2014年11月 ポプラ社)
冷たい手(2015年4月 光文社)
君と過ごした嘘つきの秋(2015年7月 新潮社)
運命は、嘘をつく(2015年10月 文藝春秋)
結城屋質店の鑑定簿 あなたの謎、預かります(2016年1月 PHP研究所)
※2012年10月 PHP研究所「てのひらの記憶」を改題
千福万来! まねき猫事件ノート 化け猫の夏、初恋の夏(2016年3月 ポプラ社)
おいしい一時間 収録「オレんちの危機を救え!」(アンソロジー 2016年3月 タイムストーリー・日本児童文学者協会編 偕成社)
教室の灯りは謎の色(2016年8月 KADOKAWA)
ランチ探偵(2016年10月 実業之日本社)
ランチ探偵 容疑者のレシピ(2016年12月 実業之日本社)
だからあなたは殺される(2017年2月 光文社)
ひよっこ社労士のヒナコ(2017年11月 文藝春秋)

DSC_0063

明利英司(めいりえいじ)

1985年6月24日鹿児島県に生まれ、幼少期を過ごし、その後、宮崎県で育つ。東京都在住。飲食店の店長をしていたが、現在は執筆に専念している。

第6回優秀作

旧校舎は茜色の迷宮

his_b_img11

2014年8月 講談社

一年前の秋、白石秋美の通う高校では、人気教師・宇津木が旧校舎内で何者かに殺害される事件が起きた。そして、翌年の同じ日に、こんどは秋美の慕う男性教師・小垣が同じ旧校舎から飛び降りて死亡する。怪奇話が大好きな空手部の渋谷新司と、それらの話を全く信じない生徒会長の木吉吾朗とともに、二人の死の真相に迫ろうとする秋美。 二つの事件を繋ぐ闇を追う刑事も巻き込みながら、迎えた文化祭の夜。隠され続けていた真実が、秋美の前に現れる―。

著者よりひとこと

権威ある、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞において優秀作に選出していただき、島田荘司先生、教育委員会の皆様、選考に携わっていただいた方々に、心よりお礼を申し上げます。この結果は、まだ未熟だがひとまず腰を据えて小説を書いてみてはいかがだろうか、という言葉を投げかけられたのだと考えております。その意思を裏切らないよう、本賞がますます栄えるようなミステリーの創造に、人生を大いに使っていこうと思います。(2014年8月)

近 況

 明利と申します。今年も福山ばら祭の季節がやってまいりました。皆様はもう、美しい無数の薔薇をご覧になったでしょうか。ここまでたくさんの薔薇の花を目にする機会はなかなかないと思います。ぜひ、ゆっくりとお祭りの会場や町を散策していただき、ばらのまち福山、の魅力をひとつでも多く探ってみてください。福山在住のお方も、改めて町の美しさを知るきっかけになればよいですね。
 私の、ここ最近の作家活動といたしましては、まず去年(2016年)9月に、千葉テレビで私が原作のドラマ『指令ゲームX』が放送されました。そして今年は、新刊『憑きもどり』の映画化が決定したので、現在撮影をしております(2017年3月)。4月末には撮影が終わっていると予想されることから、出版記念の集い、の際には上映日などをお知らせできたらいいなと思いながらこの文章を書いています。
 自著の映画化はこれで終わりではなく、さらに次の計画が浮上してまいりましたので、来年も明るいお知らせができたらいいな。また5月に薔薇が咲くまで、ひたむきに頑張ります。(2017年3月31日)

著作品一覧

旧校舎は茜色の迷宮(2014年8月 講談社)
幽歴探偵アカイバラ(2016年4月 講談社)
憑きもどり(2016年5月 ブログハウス)

his_b_photo07

吉田恭教(よしだやすのり)

佐賀県出身。島根県在住。

第3回優秀作

変若水

his_b_img07

2011年10月 光文社

厚生労働省に勤務する向井俊介は、幼馴染の女医が突然死した真相を追及するうち、ある病院を告発する文書の存在を掴み、島根と広島の県境にある雪深い村にたどり着く。
そこは変若水村。ある一族の絶大なる支配のもとに、誰も見てはならないとされる雛祭りが行われる奇妙な村だった。 相次ぐ突然死と、変若水村で過去におこった猟奇事件の謎に向井が迫る――。

著者よりひとこと

この度は優秀賞を賜り、島田荘司先生・羽田皓市長をはじめ、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の実行に携わって下さった関係者の方々に心から御礼を申し上げます。
小説を書き始めてから数々の文学賞に作品を投稿してきたものの、中々思うような結果が出ずに筆を折ろうと思ったこともありました。しかし、継続は力なりと申します。気を取り直し、今度こそと思って『変若水』を書き上げました。そして今回、優秀賞を頂く結果となり、小説を書き続けていて良かったと心から実感しております。
今後とも未聞のトリック創作に尽力し、更に面白い作品を書き上げてまいりたいと存じます。最後に、福山市と福山市民の方々の、更なるご発展をお祈りいたします。(2011年5月)

近 況

 今年は年始から二作の刊行が決まり、年内にもう一作を刊行できそうな状況です。できればもう一作刊行して、年間四冊という大目標を達成したいと願っていますが、その答えは夏になるまでお預けといったところでしょうか。いずれにしても、一年に複数の作品を刊行できる幸せを感じ、また、その重圧も感じている今日この頃です。
 現在決定している刊行作品ですが、六月と七月に続けて出ますので、ご一読頂ければ幸いです。
 六月の刊行作品について説明しますと、私にとっては初めての脱本格で、サスペンスを前面に押し出したミステリーといった体裁になっており、七月刊行作品は従来通りの本格作品となっています。今後とも、読者の支持を得られる作品を綴り続けてまいりますのでご期待下さい。(2017年3月31日)

著作品一覧

変若水(2011年10月 光文社)
ネメシスの契約(2013年7月 光文社)
惰天使の秤(2014年12月 光文社)
可視える(2015年10月 南雲堂)
背律(2016年3月 原書房)
亡者は囁く(2016年9月 南雲堂)
鬼を纏う魔女(2017年6月 南雲堂)
化身の哭く森(2017年7月 講談社)

his_b_photo12

若月香(わかつきかおり)

広島県福山市生まれ。2004年「いま、会いにゆきます」の映画企画本「ずっと、ずっと、あなたのそばに~澪の物語~」でデビュー。2014年島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学賞優秀作「屋上と、犬と、ぼくたちと」で再デビューを果たす。

第6回優秀作

屋上と、犬と、ぼくたちと

カバー1_OL

2014年9月 光文社

ガソリンスタンドでバイトをしている野村修司は、アパートの新聞受けに謎のメモがはさまれていることに気付く。はじめは意味のわからない内容だったが、翌週以降も届くメモを見ると、それは小学校時代に起きた不幸な出来事を指しているようだ。仲間と拾った子犬を内緒で飼っていた秋葉ビルの『屋上の屋上』から、台風の日に仲間の一人、オッタが転落して亡くなったのだ。 バイト先のミステリー好きの店長にメモを見せると、オッタの死に不審を抱き、メモの主を突き止めようと言い出すのだが―。

著者よりひとこと

「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」発足のニュースを耳にしたときから、生まれも育ちも福山市のわたしは、いつか絶対に応募しよう!と心に決めていました。そして初めてのミステリーというチャレンジでしたが、このような賞をいただき、大変嬉しく、幸せです。島田荘司先生、そして関係者の皆様に心より感謝いたします。 今後も創作と創造をライフワークに、書き続けたいと思います。 本当にありがとうございました!(2014年9月)

近 況

 日々流れるように過ぎていき、二〇一七年もはや初夏の頃となりました。
 昨年から「疲れていても、毎日ちょっとでも原稿を書く」をモットーに創作を続けています。気分がのらない日や、とても眠い日もありますが、ちょっとだけでも原稿にむかうようにしています。原稿にむき合うと浮かばなかった発想も、眠ろうとすると瞼の内側に浮かんできて、「あ、これ面白いかも」となっても眠くってメモさえできず、翌朝そのアイディアがなんだったのか思い出せない!ということもままありますけど。
 それでも創作は、やはり楽しいです。
 執筆の最中は孤独だし、なかなか出版に至らない焦燥感もあるのですが、長年どうしてもやめられないでいるので、きっと創作そのものが本当に好きなのだろうな、と思います。
 ではなぜ好きなのか。
 うーん。考えてみましたが理由が思いつきません。ただただ創りたくなるのです。不思議です。(2017年3月31日)

著作品一覧

屋上と、犬と、ぼくたちと(2014年9月 光文社)