島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。
第14回受賞作
2022年 光文社
この度は「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。島田先生をはじめ、本賞の運営・選考に携わってくださったすべての方に厚く御礼申しあげます。
大学在学中に志した作家の夢は、「卒業後十年は社会で悩み苦しみなさい」という恩師の教えで一度保留となり、実際その言葉通りに悲惨な二十代を過ごす事となりました。本賞の受賞は作品だけでなく、作家となるために悩み苦しんだ人生まで肯定して頂けたように感じ、嬉しいと同時に深く安心も致しました。(2021年10月)
竹中さん、第十七回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の受賞おめでとうございます。同じ三重県、それも私の地元・四日市市と隣接する桑名市のご出身ということで、非常に親近感を持っております。受賞式でお会いできること、楽しみにしています。
さて、二〇二四年は二月に結婚、八月に昇進と公私ともに充実した一年でした。一方、ロールが変わったことにより仕事で英語を使う頻度が増え、休日は英語学習や英会話に時間を割いてばかりでした。その結果、次作の執筆はさっぱり進まない一年となってしまいました。ここ数年、週末は平日にやり残した仕事の片付けと勉強ばかりという味気ない日々になってしまった気がします。奨学金を借りてまで通った大学の講義をサボり、社会人になって慌てて勉強し直すというのは、つくつぐ無駄の多い人生だなーと我ながら情けなく思います。
不器用ながら二〇二五年は少しでも執筆活動を再開し、実りの多い年にしたいです。(2025年3月)
ヘパイストスの侍女(2022年3月 光文社)
抜け首伝説の殺人 巽人形堂の事件簿(2023年10月 光文社)
第11回受賞作
2019年3月 光文社
『ひとつ屋根の下の殺人』が原書房さんより三月に刊行されました。本格ミステリーは、慣れていない読者には少しとっつきにくいところがありますが、この小説は読者に手掛かりを明示して最後の真相にたどり着けるように書きました。そのために用意した伏線は全部で73個。これまでにないミステリーになったと思います。さらに仕掛けがあります。感想が楽しみです。
同じ頃デビューした作家と『わんにゃん堂』というサークルを結成しました。その繋がりから今年は今のところ、二つの書店さんでフェアの展開が予定されています。
昨年は初めて文学フリマに参加して、一万人を超える読みたい人、書きたい人の熱気に圧倒されました。noteに連載した『小説の書き方』やエッセイをまとめた小冊子と『こうしてぼくらはデビューした』(わんにゃん堂メンバー共著)を出品し、好評でした。
今年もSNS、リアルともに書店・読者・作家との接点を積極的につくっていきたいと思っています。(2025年3月)
第9回受賞作
第3回優秀作
2011年8月 講談社
主人公「私」は、妻と娘に恵まれ、仕事も順調で幸せな日々を送っていた。が、妻が持ち出した小学校時代のアルバムが人生を狂わせはじめる。それは過去を封印していた人間にとって存在してはならぬものだった。その日から恐ろしい幻影に襲われ精神的に追い詰められていった「私」は過去と対峙することに――。当時「私」には双子の兄弟がおり、北海道M市のボロアパート群、通称餓死町で悲惨な生活を送っていた......。
このたびは第3回福山ミステリー文学新人賞優秀作に選出いただき誠にありがとうございます。
私にとって島田先生の作品というのは本当に特別なものでした。十代の頃に島田作品と出合い、貪るように読み耽りました。目くるめくような衝撃を受けました。そして、はじめて自分で小説を書いてみたいと強く思いました。
私は島田先生の作品に出会っていなければ小説を書くことはなかったと思います。その島田先生に優秀作として選出いただき、これ以上の栄誉はありません。とにかくこれからはその栄誉に恥じぬよう24時間、いつでも頭のどこかでミステリーのことを考え、奇想を膨らませ、研鑽を重ね、この道をどこまでも突き進む覚悟でおります。そしていつかこの賞の価値を高め、本格ミステリーというジャンルを牽引するような作家になること。大それた考えと思われるかもしれませんがデビューできた暁には、これを目標として邁進いたします。(2011年5月)
キョウダイ(2011年8月 講談社)
セカンドタウン(2013年8月 講談社)
ギキョウダイ(2017年2月 講談社)
裏家電(2022年3月 講談社)
漂流都市(2023年2月 講談社)