島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。
第14回受賞作
2022年 光文社
この度は「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。島田先生をはじめ、本賞の運営・選考に携わってくださったすべての方に厚く御礼申しあげます。
大学在学中に志した作家の夢は、「卒業後十年は社会で悩み苦しみなさい」という恩師の教えで一度保留となり、実際その言葉通りに悲惨な二十代を過ごす事となりました。本賞の受賞は作品だけでなく、作家となるために悩み苦しんだ人生まで肯定して頂けたように感じ、嬉しいと同時に深く安心も致しました。
2023年は受賞後第一作となる『抜け首伝説の殺人 巽人形堂の事件簿』を上梓させていただきました。本業に時間を取られてしまい、気づけばデビュー作の出版から一年半もあいてしまいました。
地元では友人知人の宣伝もあって多少は動いてくれているようですが、全国的にはまったく知名度がない状態ですので、もっと精進しなければならないと強く思っております。
今年は酒本さんの呼びかけで植田さん、北里さん、稲羽さんという福ミスの先輩方とのお酒の席を設けていただけました。コロナ禍での受賞ということもあり、島田先生以外の作家とお話をする機会がなかったため、とても嬉しかったです (酒本さんありがとうございました!)。
第16回は表彰式と出版記念パーティーが開催されるとのことですので、わたしも参加して麻根さんや野島さんとお会いしてみたいと考えております。
2021年に鞆の浦をひとりで訪れた際は、すでに夜になってしまい閑散としておりましたし、令和の大普請が完了した福山城をまだ見に行けていないため、福山市に行ってリベンジできることを楽しみにしています。(2024年3月)
ヘパイストスの侍女(2022年3月 光文社)
抜け首伝説の殺人 巽人形堂の事件簿(2023年10月 光文社)
第11回受賞作
2019年3月 光文社
○昨年は新しいことに挑戦してみようと思い、noteにて小説の連載を始めました。『サマスペ』という青春エンタメ小説です。おかげさまで多くの人に楽しんでいただけました。書いてすぐに感想をもらえることが嬉しくて、つい最近までその続編『アッコの夏』の連載もしていたのですが、小説の舞台になる石川県で正月の震災があり、今は休載しているところです。
○ほかのジャンルの小説も書きたくて、昔から好きだったSFファンタジーを書いてみました(異世界転生のような流行りのではないですが)。どこかで発表したいと思っています。
☆現在は新作ミステリーを書いています。新しいタイプのミステリーを意識しました。おそらくこれまでの本格ミステリーにはなかったのではないでしょうか。
本格ミステリーは読者に読む苦労を強いるところがあります。ほかのエンタメ小説と一線を画するところです。私の書いている新作は、もっと敷居を低くして読者と伴走することを狙いにしています。
この企みが読者に受け入れられるかどうか、楽しみです。(2024年3月)
第9回受賞作
第3回優秀作
2011年8月 講談社
主人公「私」は、妻と娘に恵まれ、仕事も順調で幸せな日々を送っていた。が、妻が持ち出した小学校時代のアルバムが人生を狂わせはじめる。それは過去を封印していた人間にとって存在してはならぬものだった。その日から恐ろしい幻影に襲われ精神的に追い詰められていった「私」は過去と対峙することに――。当時「私」には双子の兄弟がおり、北海道M市のボロアパート群、通称餓死町で悲惨な生活を送っていた......。
このたびは第3回福山ミステリー文学新人賞優秀作に選出いただき誠にありがとうございます。
私にとって島田先生の作品というのは本当に特別なものでした。十代の頃に島田作品と出合い、貪るように読み耽りました。目くるめくような衝撃を受けました。そして、はじめて自分で小説を書いてみたいと強く思いました。
私は島田先生の作品に出会っていなければ小説を書くことはなかったと思います。その島田先生に優秀作として選出いただき、これ以上の栄誉はありません。とにかくこれからはその栄誉に恥じぬよう24時間、いつでも頭のどこかでミステリーのことを考え、奇想を膨らませ、研鑽を重ね、この道をどこまでも突き進む覚悟でおります。そしていつかこの賞の価値を高め、本格ミステリーというジャンルを牽引するような作家になること。大それた考えと思われるかもしれませんがデビューできた暁には、これを目標として邁進いたします。(2011年5月)
キョウダイ(2011年8月 講談社)
セカンドタウン(2013年8月 講談社)
ギキョウダイ(2017年2月 講談社)
裏家電(2022年3月 講談社)
漂流都市(2023年2月 講談社)