島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。
第9回優秀作
2017年4月 講談社
早いもので久しぶりに福山を訪れてから一年になります。昨年語っていたプロットが、この近況報告を書いている数日前にようやく完成しました。今回もバイオホラーとサイエンスミステリーの中間のような作品で、非常に気持ちの悪い仕上がりとなっております。
男を食らう呪われた島と蟲を祀った神社、美しき巫女の末裔、生贄として捧げられた胎児たち、手足が溶けて死んだ男たちと蟲母神信仰。島のルーツを探った先に見つかる答えとは―
今回は今までの作品の中で最も犠牲者の数が多く、楽しんでい頂けると思います。今は次作に向けて良いアイデアがあり、早く形にしたいと考え中です。自然科学の世界は沢山の謎と魅力ある生物で溢れています。これからも、私にしか書けない作品を目指して精進していきたいです。
日々の生活では大型犬と子供たちに振り回されていますが、子供たちが私の作品を読めるようになりました。まあまあだね、次は? など感想を頂いております。はい、頑張ります。(2025年3月)
第7回受賞作
2015年5月 講談社
この度は「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という素晴らしい賞を頂き、光栄に思っています。島田先生、事務局の皆様、一次及び二次選考に関わって下さった皆様に心よりお礼を申し上げます。今から二十年前、まだ中学生だった頃から、いつかミステリー小説を書きたいと思っていました。そのチャンスを与えて下さった皆様の期待に応えられるようにこれからも努力していきたいと思います。(2015年5月)
今年度の受賞者様、おめでとうございます。
島田先生ならびに福ミス関係者の皆様、貴重な機会を設けていただき本当にありがとうございます。
私が「たとえ、世界に背いても」で受賞させていただいてからもう十年以上経ちました。
一年、また一年と回数が増えるたびに新たな福ミス作家が増えてうれしいです。
近況報告ですが、特にこれといって以前と変わったことはありません。
最近、気になっていることがあるとすれば通貨のことでしょうか。
放っておいたら円の価値がどんどん下がってしまうのに、日本人はその弊害を認識していない方が多いようです。
国民全てが輸出関連の産業で働いているなら円安でいいのかもしれませんが現実は違いますから。
止まることのない円安のせいで物価がずいぶん高くなってしまいました。
以前より暮らしにくくなったなぁ、と思いつつ穏やかに暮らしています。
またいつか推理小説を出版したいです。
これからもばらのまち福山ミステリー文学新人賞が末永く続くことを祈っております。(2025年3月)
たとえ、世界に背いても(2015年5月 講談社)
第7回優秀作
2015年11月 原書房
2024年の私個人のいちばん大きな出来事は、2016年夏以来続けてきたささやかな輸入雑貨の店を年末に閉じたことでした。
当初の店のオーナーは亡くなった夫。あれほど夢一杯でオープンしたのも束の間、わずか一年余りで病に倒れ扉の向こうの世界に行ってしまいました。迷った末に店を引き継ぐことを決めたものの「これは人生のどんな罰ゲームなんだろう?」と自問する日々でした。
ところが閉業を決め、いよいよその日を迎えたとき、ここ数年の私の「問い」に答えが降ってきたのです。言葉にするのは難しいのですが、「この気持ちを味わうためにこれまでの全ての日々があったのだ」と腑に落ちました。
年が明け、数年ぶりに風邪をひいて珍しく寝込みました。カウンセラーをしている知人に話したら興味深いことを教えてくれました。
依存症の人はその最中は風邪をひかないが、回復すると風邪をひくことがよくあるというのです。「だから風邪をひくのは悪いことじゃないよ」と。吹けば飛ぶような店でも、私にとっては大いなるプレッシャー、そしてアディクションでもあったのかもしれません。ともあれ、三足のわらじが二足になった今年、一足目(二足目?)の成果を出したいものです。(2025年3月)
ベンヤミン院長の古文書(2015年11月 原書房) 薬草とウインク(2017年4月 原書房) 木乃伊の都(2021年6月 光文社)
第6回優秀作
2014年11月 原書房
焼け跡のユディトへ(2014年11月 原書房)
時限人形(2016年9月 原書房)
三毛猫ホームズと七匹の仲間たち(2019年7月 論創社)
ミズチと天狗とおぼろ月の夢(2021年8月 南雲堂)
十津川警部と七枚の切符(2022年11月 論創社)
アインスタインと春待月の殺人(2024年12月 南雲堂)