受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

竹中篤通(たけなかあつみち)

三重県桑名市出身。医師。京都大学理学部卒業。スズキ株式会社勤務を経て、名古屋市立大学医学部卒業。

第17回受賞作

片腕の刑事

2025年3月 原書房出版

 執筆、応募歴は約十五年前から。大学入試や医師国家試験の準備のため、離れていた時期もあったため、トータルでは十年間ほど。
 過去に福ミス、警察小説大賞、警察小説新人賞の最終選考に残った経験と、講談社BOX新人賞の佳作受賞歴あり。

著者よりひとこと

 暇つぶしで始めた小説の執筆は、徐々に楽しくなり、いつの間にか生活の一部になっていました。
 昔から読書は好きだったものの、十代の頃は作家やジャンルに拘りはなく、色んな作品を読んでいました。二十歳くらいのときに島田先生の作品と出合って、以降は本格ミステリに夢中になりました。
 そんな私の『片腕の刑事』を受賞作に選んでいただき、ありがとうございます。良い作品に仕上げて世に出せるよう頑張ります!(2024年10月)

著作品一覧

片腕の刑事(2025年3月原書房出版)

高林さわ(たかばやしさわ)

1945 年5月3日生まれ。千葉県出身。中学教師、塾自営の後引退。1981年「小説現代新人賞」受賞。

第5回受賞作

バイリンガル

2013年5月 光文社

 アメリカ人の夫と離婚した永島聡子は、日本に帰国し、予備校の講師をしながら一人息子を育てた。ある日、沢田仁奈という女性が聡子のもとを訪ね、自分の両親が亡くなるきっかけとなった、30年前にインディアナ州ラフィエットで起きた誘拐殺人事件の内容を話して欲しいと頼む。仁奈には親切にしなければと思いつつも、乗り気になれずにいた聡子だが、仁奈の日本での生い立ちや生活を聞き、事件の全貌を語り出す。

著者よりひとこと

 「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という大きな賞をいただくことができまして、ほんとうにありがたく、感謝しております。
 島田先生はじめ、選んでくださった皆様に、心より御礼申し上げます。30年前に賞をいただいた後、長いブランクがありましたが、諦めずに書き続けてよかったです。書く場所を再び与えていただいたのですから、頑張らねば、と思っております。どうもありがとうございました。。(2012年10月)

近 況

 この冬は天候のせいなのか喉はイガイガ、くしゃみ連発、咳が止まらず鼻水も止まらない、という体調が続いています。おまけに逆流性食道炎も患っているので、かなりきついです。病院で診てもらっても、食道炎はともかく、ほかは単なる「風邪」という診断です。平熱なので、コロナではないしインフルエンザでもない、とのこと。
 ゴロゴロしているときにはテレビがお友達で、毎週金曜土曜は競馬中継を楽しんでいます。子供の頃は京成の沿線に住んでいたので、小学校に上がる前から父親に連れられて、中山や船橋の競馬場にだいぶ通ったみたいです。そのせいなのか、大人になっても競馬を見るのが大好きです。馬券は買いませんけど。昔に比べると、観客数が非常に多くなったようですね。競馬場に行きたいと思ってはいても、あの人込みに入る気はしないです。
 有馬記念を見ながら、ディック・フランシスの競馬シリーズを読み直そうと思いつき、三十年ぶりに引っ張り出しました。発売と同時に読み始めて、全巻を揃えていたのです。
 やはりすごい小説です。主人公は巻によって異なりますが、例えば、昔はつらくて仕方なかったシッド・ハレーの行動が、時を隔てて再読すると、実に美しく男らしく、雄々しくて温かい。そしてせつなさが胸に迫ります。訳者菊池光氏の日本語にも魅かれました。
 昔、このシリーズのどれかを、長旅をする人へのお餞別にして、喜ばれたものです。(2025年3月)

著作品一覧

バイリンガル(2013年5月 光文社/2018年4月  光文社文庫)

知念実希人(ちねんみきと)

1978年10月12日沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒。2004年から医師として勤務。日本内科学会認定医。

第4回受賞作

誰がための刃 レゾンデートル

2012年4月 講談社

 自らが末期癌に冒されていることを知った若手の外科医、岬雄貴は、自暴自棄となり殺人を犯してしまう。そのことがきっかけで、連続殺人鬼「ジャック」と接触を持った雄貴は、ジャックの思想に感化され、その共犯となる。偶然助けた少女、沙耶と心を通わすうちに、自らの行動に苦悩するようになる雄貴。「ジャック」はなぜ殺人を繰り返すのか、少女はなぜ追われるのか。残り少ない命をかけ、雄貴は少女のために戦いに挑む。

著者よりひとこと

 このたびは福山ミステリー文学新人賞という素晴らしい賞を受賞させて頂き、島田先生を初め関係者の皆様には心より感謝しております。
 応募の際は、この作品が「本格」を求めている福ミスに相応しいものなのか何日も迷いましたが、福ミスの選考方法や最終選考まで残れば島田先生に選評を頂けることに惹かれ、思い切って応募しました。受賞を知った時はすぐには信じられなくて一瞬呆然とした後、天にも昇るような気持ちになりました。
 今回の作品は8年間の医療現場での経験を詰め込むことで、末期癌に冒された主人公から見た世界、そしてその生き様をできるだけリアルに描くように努めました。読んでくださった皆様に楽しんで頂ければ幸いです。
 今後は賞の名に恥じぬよう精進し、読者の方に喜んで頂ける小説を書いてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(2012年5月)

近 況

 最近は看板シリーズである『天久鷹央の推理カルテ』のアニメ化や、いくつかの作品のドラマ化などが続いて、ありがたいことに作家として忙しい毎日を送れております。
 今後も映像化は続いていく予定ですので、福山ミステリー文学新人賞、そして福山市の名前を多くの方に知ってもらえるよう、いっそう創作活動に励みたいと思っています。
 福山市は映画の街でもありますので、いつかは福山市で私の作品の映画を撮影することを夢見ています。(2025年3月)

著作品一覧

誰がための刃 レゾンデートル(2012年4月 講談社)
ブラッドライン(2013年7月 新潮社)
優しい死神の飼い方(2013年11月 光文社/2016年5月 光文社文庫)
天久鷹央の推理カルテ(2014年10月 新潮社)
仮面病棟(2014年12月 実業之日本社)
天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟(2015年3月 新潮社)
改貌屋 天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ(2015年5月 幻冬舎)
天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア(2015年6月 新潮社)
黒猫の小夜曲(セレナーデ)(2015年7月 光文社/2018年1月 光文社文庫)
スフィアの死天使 ―天久鷹央の事件カルテ―(2015年8月 新潮社)
神酒クリニックで乾杯を(2015年10月  KADOKAWA)
天久鷹央の推理カルテⅣ 悲恋のシンドローム(2016年2月 新潮社)
淡雪の記憶 神酒クリニックで乾杯を(2016年4月  角川文庫)
白銀の逃亡者(2016年6月 幻冬舎)
幻影の手術室 ー天久鷹央の事件カルテー(2016年9月 新潮社)
天久鷹央の推理カルテ 1巻(コミック)(2016年9月 新潮社)
あなたのための誘拐(2016年9月 祥伝社)
時限病棟(2016年10月 実業之日本社)
天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト(2017年3月 新潮社)
天久鷹央の推理カルテ 2巻(コミック)(2017年3月 新潮社)
屋上のテロリスト(2017年4月 光文社)
崩れる脳を抱きしめて(2017年9月 実業之日本社)
螺旋の手術室(2017年10月 新潮社)
甦る殺人者-天久鷹央の事件カルテー(2017年11月 新潮社)
祈りのカルテ(2018年3月 KADOKAWA)
火焔の凶器: 天久鷹央の事件カルテ (2018年8月 新潮文庫nex)
ひとつむぎの手(2018年9月 新潮社)
神のダイスを見上げて(広島版 2018年11月 光文社/全国版 2018年12月 光文社)
 レフトハンドブラザーフッド(2019年3月 文藝春秋)
 魔弾の射手:天久鷹央の事件カルテ(2019年8月 新潮社)
ムゲンのi(上・下)(2019年9月 双葉社)
誘拐遊戯(2019年10月 実業之日本社)
十字架のカルテ(2020年3月 小学館)
傷痕のメッセージ(2021年3月 KADOKAWA)
硝子の塔の殺人(2021年7月 実業之日本社)
久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ(2021年8月 新潮社)
真夜中のマリオネット(2021年12月 集英社)
死神と天使の円舞曲(ワルツ)(2022年5月 光文社)
生命の略奪者ー天久鷹央の事件カルテー(2022年9月 新潮社)
機械仕掛けの太陽(2022年10月 文藝春秋)
作家 超サバイバル術!(2022年12月 光文社) ヨモツイクサ(2023年5月 双葉社)
放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件 2023年6月 ライツ社)
吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ(2023年10月 実業之日本社)
羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ(2024年2月 実業之日本社)
放課後ミステリクラブ3 動くカメの銅像事件(2024年2月 ライツ社)
絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ(2024年4月 実業之日本社)
真夜中のマリオネット(2024年6月 集英社文庫)
放課後ミステリクラブ4 密室のウサギ小屋事件(2024年6月 ライツ社)
傷痕のメッセージ(2024年9月 KADOKAWA)
放課後ミステリクラブ5 龍のすむ池事件(2024年10月 ライツ社)
サーペントの凱旋 となりのナースエイド(2024年12月 KADOKAWA)
呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ(2024年12月 実業之日本社)
天久鷹央の推理カルテ ジュニア版 カッパの秘密とナゾの池(2024年12月 実業之日本社)
天久翼の読心カルテ 神酒クリニックで乾杯を(2025年1月 実業之日本社)
放課後ミステリクラブ6 教室のとうめい人間事件(2025年3月 ライツ社)