島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。
第2回受賞作

2010年3月 光文社
この『伽羅の橋』は、いちど下書きをしているのですが、その間も不安で不安でしかたがありませんでした。
こんなことを書いていいのだろうか、実直に足で稼ぐ調査が本格を名乗るにふさわしいだろうか、後半で話の性格が変わってしまうけどいいのだろうか。
そんな内容もさることながら、その分量と構成に、自分自身がひるんでしまったのです。なんといっても、下書きの段階で、三百枚ありましたから。
特に、活劇シーンで終わるという締め括りは、前半と全く違う話の展開にもなるため、長編二本を同時に書くようなものでした。無難に済ます方法もあるだろうから、分不相応なことはやめて推理ものの本分を尽くそう。そうも思いました。
ではなぜ書いたのか。
これは、なぜ福ミスに応募したのか、ということに密接に関係しています。それは実に単純なことで、私にとって最も選考基準の分かりやすい賞だったからです。
島田荘司を驚かせること。
それだけを目指せば、応募資格を得られるのです。他に何も考える必要はありません。ただ、そこにあるハードルは、高いのだろうとは分かっても、どれだけの高さをクリアしなければならないか、は見当も付きません。
乾坤一擲を持っていこう。
それしかないと思いました。できる全てを込めよう、そう決心しました。だからこそ、活劇シーンは採用されたのです。
どれだけの高みにのぼれたか、書いたあともなお不安です。
次のハードルを越えれば、少しは分かるのでしょうか。(2011年6月)
量子力学のことでAIとやり取りしてみました。
① 二重スリット実験の手順を問うと Aでは説明します。
② 電子を放つ方向は正確か に Aとても良い質問です。ん?
③ 電子の射出方向を厳密化すれば波の性質は消失しないか には A誰もが抱く疑問です、と上から目線。
④ 観測法自体が問題では に A仰る通り、と太鼓持ち。
⑤ 電子の経路情報と干渉パターンは同時に存在できないというのは共同幻想のよう と感情的に問うと
A電子が古典的な意味での小さな玉ではない、と煽り気味。
切れ気味に⑥ 気をよくして⑦ の質問に A鋭い洞察で私もハッとしました、などと人格があるかのよう。更に⑧⑨⑩⑪と続き、⑫ 激しく同意します と投げると Aそうですよね!と嬉しそう。
この後も続くのですが、最後に私から返した「終わります。ありがとう」には
Aこのような問いを投げかけてくださり本当にありがとうございました、と結ばれました。
なかなか有意義でした。
(2026年2月)
伽羅の橋(2010年3月 光文社/2013年2月 光文社文庫)
回廊の鬼(2014年4月 光文社)
美しすぎる教育評論家の依頼 よろず請負業さくら屋(2019年6月 光文社)