島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。
第10回受賞作

2018年5月 講談社
2026年、馬年です。毎年、1月の誕生日前後に健康診断を受けます。年々、結果を聞くのが怖くなり、新年早々、暗い気持ちになるのも嫌なので12月にしようかと考えています。だからどうなるという話でもないのですが。
2025年は久々に友人と旅行に行きました。電車に乗って富山県富山市へ。まだ雪は早いと思っていたのですが、着いた日の翌日、カレンダーの写真のような冠雪した立山連峰を目にすることができました。帰るまでずっと、その美しさを堪能でき、気持ちのいい旅になりました。もちろん、おいしいお寿司に舌鼓も。クエのお寿司や生の白エビのお寿司は大阪では食べられないもので感動的な味わいでした。
また、別の日には琵琶湖に浮かぶ小島を訪れました。多景島と書いてタケシマです。湖上から見る眺めが様々であるというところから島の名がついたという説があります。夕陽に煌めく湖面と緑の島影は、普段目にしない光景で日常を離れることの面白さや心地良さ、大切さを改めて感じました。
3月に福山市に行くのが今からとても楽しみです。(2026年2月)
巡査たちに敬礼を(2024年2月 新潮文庫)
匣の人 巡査部長・浦貴衣子の交番事件ファイル(2024年4月 光文社)
戸惑いの捜査線 警察アンソロジー(2024年6月 文春文庫)※アンソロジー収録
使嗾犯 捜査一課女管理官(2024年7月 角川春樹事務所)
降格刑事(2024年8月 幻冬舎文庫)
流警 新生美術館ジャック(2024年9月 集英社文庫)
ブラックキャット(2024年10月 光文社)
大阪府警 遠楓ハルカの捜査日報(2025年1月 PHP文芸文庫)
警察の標 警察アンソロジー(2025年2月 朝日新聞)※アンソロジー収録
県警本部捜査一課R(2025年2月 徳間文庫)
流警 水地川温泉事件ファイル(2025年8月 集英社文庫)
刑事ヤギノメ 奇妙な相棒(2025年11月 文春文庫)
県警捜査一課R メイリンの闇(2025年12月 徳間文庫)
大阪府警 遠楓ハルカの捜査日報2(2026年1月 PHP文芸文庫)
疑心殺人 捜査一課女管理官(2)(2026年2月 角川春樹事務所)
第9回受賞作

第9回優秀作

2017年4月 講談社
福ミスの近況報告を書くと、一年の早さを感じます。今年は5月に「赫き女王」の文庫を、6月に新刊のバイオホラーを出版する予定です。文庫にして頂くのは初めてですので、可能な限りブラッシュアップして良い作品をお届けしたいです。
新刊は、呪われた巫女の末裔が住む離島、溶ける死体、謎に包まれた乳児の死などなど私の好みを詰め込んだ仕上がりとなっております。こちらも最後の仕上げに気合を入れて、頑張ります。
無関係ですが、今期のミカンの注文が現時点で150キロになりました。我ながら怖いです。 (2026年2月)

第9回準優秀作

2018年6月 原書房
おかげさまで一冊出れば次のご依頼を頂き、自分が良いと思うものを無理のない範囲で書き続けることができています。一昨年の『神様のたまご センナリ劇場の事件簿』(文春文庫)以来、2025年は新作の刊行がありませんでしたが、その間は千枚規模の大長編に約二年がかりで取り組み続け、今年の5月にようやく刊行の予定です。
毎回「これぞ自分の最高傑作」というつもりで新作に取り組んでいますが、今回の長編は今後このレベルを更新するのはちょっと難しいかな……と自分でも思うほどの畢生の大作となりましたので、是非ご高覧賜りましたら幸いです(などと言いながら、これからも毎回最高傑作を書くつもりで努め続けることに違いはないのですが)。
あと、今のところ今年は短編がもう一本、ハヤカワミステリマガジン4月号「名探偵特集」に新作短編が発表されます。こちらは「名探偵」という事自体をテーマにした、ちょっとひねりの利いたものが仕上がりましたので、併せてお楽しみいただけますと幸いです。(2026年2月)
神様のたまご 下北沢センナリ劇場の事件簿(2024年4月 文春文庫) p>
第8回優秀作

2016年5月 光文社
神部市旧居留地にある古ぼけたビルの一室。そこは仮想空間『ジウロパ世界』と現実が並存する特殊な場所であった。高校生の日向アキラは、自分のアバターを操作し、遠く離れた家からそのビルの一室に遠隔アクセスした。そこで待っていたのは、セルパンという名のアバターだった。短いやりとりののち、ふたりは口論となり、ついにはアキラの操るアバターがセルパンの喉もとを刀で掻っ切ってしまう。翌日、そのビルの部屋で若い男の遺体が発見された。男は何者かに喉もとを切られ、無惨にも殺されていた。しかもその男は、昨夜セルパンを操作していたプレイヤーであるらしかった。アキラは自問する。「あれはぼくがやったのか?」。果たして男を殺害したのは、本当にアキラなのか。その答えを探るべく、アキラは行動を開始した。
もう十年近く前になりますが、島田荘司先生のサイン会にて先生からかけていただいた温かい言葉は、執筆を続ける上でいつも大きな励みとなりました。また、そのサイン会直後に立ち上がった“福ミス”は、ずっと進むべき道しるべでした。このたび「優秀作」という身に余る評価を賜り、言葉にできないほどの喜びを感じております。再び背中を押してくださった島田荘司先生と“福ミス”関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。(2016年5月)
先日、待望のビートルズのニューアルバム『アンソロジー4』がリリースされました。個人的には『フリー・アズ・ア・バード』の新ミックスがお気に入りです。
その一方で、家族で洋楽を聴くのは私だけなので、肩身の狭い思いをしています。
いつだったか、カーオーディオからボン・ジョヴィの曲が流れたとき、中学生の娘にはっきり言われてしまいました。
「ボリューム小さくして!」
ドライブ中に洋楽が流れると、娘は決まって嫌がります。
その日の夜、リビングで寛いでいた娘が鼻歌を歌っていました。おそらく無意識だったのでしょう。なんとそれは昼間聴いたボン・ジョヴィの曲のメロディでした。
「うわ、気に入ってもうてるやん! 気に入って無意識に口ずさんでもうてるやん!」
ついうれしくなって私がまくし立てると、娘はとても嫌そうな顔をしました。
父親とはこうやって嫌われていくのかもしれません……(2026年2月)
僕のアバターが斬殺ったのか (2016年5月 光文社)
幻想リアルな少女が舞う(2018年1月 光文社)
第8回受賞作

2016年4月 原書房
戦後の日本犯罪史上、最も鮮烈な印象を残したのは1968年に起きた「三億円事件」であろう。しかし、日本人だけでなく広く世界中の人々の注目を集めた点では、1965年に起きた「アムステルダム運河殺人事件」が勝っている。1965年夏、アムステルダムの運河に浮かんだ日本人死体は頭部・両脚・手首が切断され、胴体だけがトランクに詰められて発見された。当時、新進推理作家として文壇に登場した松本清張氏は本事件を小説化するに当たって綿密に取材し、被害者が替え玉であるとの説を唱えた。しかし、しばらくして自説を撤回するに至る。ヨーロッパの警察機構に加えインターポールも捜査に参画したが、事件は迷宮入りの様相を呈する。(実際に発生した事件を基にしたフィクション)
「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」には、その独特な選考手法に注目していた。それは「敗者復活」のルートが用意されていたからである。選考過程が単にふるいに掛けようとするものではなく、作者の懸命さを見逃すまいとする姿勢に島田荘司先生をはじめ選者の人々の心意気が垣間見え、憧れを抱いていた。「もの書き」はスポーツ選手と同様で、試合に出場することで成長できると確信している。ピッチに立たせてもらえたことを大変光栄に思う。(2016年5月)
アムステルダムの詭計(2016年4月 原書房)
社内スキャンダル 文芸社セレクション(2025年1月 文芸社)
義父の空砲 文芸社セレクション(2025年11月 文芸社)
第7回受賞作

2015年5月 講談社
この度は「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という素晴らしい賞を頂き、光栄に思っています。島田先生、事務局の皆様、一次及び二次選考に関わって下さった皆様に心よりお礼を申し上げます。今から二十年前、まだ中学生だった頃から、いつかミステリー小説を書きたいと思っていました。そのチャンスを与えて下さった皆様の期待に応えられるようにこれからも努力していきたいと思います。(2015年5月)
今年度の受賞者様、おめでとうございます。
島田先生ならびに福ミス関係者の皆様、いつも素晴らしい授賞式を催していただき本当にありがとうございます。今年の受賞作がどんな作品なのか、とても楽しみです。
近況報告ですが、特にこれといって以前と変わったことはありません。しいていえばインフレの進行とトランプ関税で日本の景気がどうなるか、気になるくらいでしょうか。去年も似たようなことを書いたと思うのですが、インフレは国民それぞれが対策をしないと生活に与える影響が大きいです。
政府は通貨安を通じて債務残高の対GDP比率を減少させたいようです。通貨安政策は資産価格が上がるという利点もありますが、エリート以外は賃金の上昇率が追い付くことはほぼないので平均的な日本人の実質賃金は改善しないでしょう。それぞれのご家庭でインフレ対策をしておかないと今後はさらに厳しくなりそうです。
またいつか皆様とお会いできたらうれしいです。 これからもばらのまち福山ミステリー文学新人賞が末永く続くことを祈っております。(2026年2月)
たとえ、世界に背いても(2015年5月 講談社)
第7回優秀作
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2015年11月 原書房
戦後80年、昭和100年、そして7月に何かが起こると騒がれた2025年が終わりました。私にとっては『ベンヤミン院長の古文書』を出させていただいてから、10年が経ちました。最近知り合った友人が私のことを調べ本を買ってくれたことを知りました。メモを取りながら読んでくれたとのこと、ありがたいかぎりです。
さて私は昨年末から家系図作りにハマりました。市役所で取った戸籍謄本だけからでも、六代前の祖先が1810年生まれであったことが判明しました。文化七年、十一代将軍家斉の時代です。祖父母の名前さえよく知らなかった私が、今では100人以上のご先祖に囲まれているのを知り、戸籍のデータを眺めながら想像を膨らませています。(2026年2月)
ベンヤミン院長の古文書(2015年11月 原書房) 薬草とウインク(2017年4月 原書房) 木乃伊の都(2021年6月 光文社)
第6回受賞作

2014年5月 原書房
「あんたは、最低だな」 古ぼけたアパートの一室で再会した父親は、日常生活もままならない変わり果てた姿となっていた――。遠田香菜子は、そこで偶然出会った青年とともにアパートの調査を開始する。そんな彼らに、ある男が近づいていた。そしてそれを、ある女が監視していた。やがてふたりは、凶悪事件の壮大な陰謀と、初めて芽生えた感情の渦に呑み込まれてゆく。
欲するままに書き続け、自身の中にあるものは、裏打ちのない自信としつこさだけでした。そんな中で自分という存在を見つけていただいた皆様に、心から感謝しています。
今後は島田先生や編集者の方々の助言を得て、読んでよかったと感じていただけるものを作っていけたらと思っています。(2014年5月)
今年は前からやってみたかったドライブに挑戦した。東京から実家である熊本へ車での帰省。その距離、約1200キロ。
渋滞のゴールデンウイーク中に出発。停滞と発進が延々と続く中、早い段階で音楽も聞き飽き、同じ景色の繰り返しに辟易する。
ループする景色に、学生時代に青春18切符でも東京から熊本へ帰省したことを思い出す。あの時も電車の窓下台に肘をつき、うとうとしては目を覚まし、見慣れた森だと思って駅名を見ては愕然としていた。
何も変わっていない。が、それはそれで楽しい経験だった。
昨年は講談社さんでMRCショートショートを一つ書かせていただきました。 現在は長編二本を書いており、形にできればと思っています。 (2026年2月)
経眼窩式(2014年5月 原書房)
エイトハンドレッド(2015年5月 原書房)
心臓のように大切な(2017年8月 原書房)
三毛猫ホームズと七匹の仲間たち(2019年7月 論創社)※アンソロジー収録
99の羊と20000の殺人(2019年8月 実業之日本社)*2017年8月原書房「心臓のように大切な」を改題・改稿
ニケを殺す(2023年5月 講談社)

広島県呉市生まれ。日本女子大学文学部卒。京都府在住。2005年第1回ハーレクインラブストーリーコンテスト優秀賞受賞。
第6回優秀作

2014年11月 原書房
焼け跡のユディトへ(2014年11月 原書房)
時限人形(2016年9月 原書房)
三毛猫ホームズと七匹の仲間たち(2019年7月 論創社)※アンソロジー収録
ミズチと天狗とおぼろ月の夢(2021年8月 南雲堂)
十津川警部と七枚の切符(2022年11月 論創社)※アンソロジー収録
アインスタインと春待月の殺人(2024年12月 南雲堂)