受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

IMG_1760

一田和樹(いちだかずき)

11 月6 日生まれ。東京都出身。バンクーバー在住。

第3回受賞作

檻の中の少女

his_b_img02

2011年4月 原書房

「息子は自殺支援サイト『ミトラス』に殺されたんです」 サイバーセキュリティ・コンサルタントの君島のもとへ老夫婦が依頼にやってきた。自殺したとされる息子の死の真実を知りたいのだという。息子はミトラスに多額の金を振り込んでもいたらしい。ミトラスは自殺志願者とその幇助者をネットを介在して結び付け、志願者が希望通り自殺出来た際に手数料が振り込まれるというシステムで、ミトラス自身はその仲介で多額の手数料をとるのだという。さまざまな情報を集め、やがて君島が「真相」を解き明かし、老夫婦の依頼に応えたとき、これまで隠されてきたほんとうの真実【エピローグ】が見え始める ─

著者よりひとこと

 このたびは素晴らしい賞を授けていただき、誠にありがとうございます。身に余る光栄です。
島田先生、羽田市長をはじめ、関係者の皆様には感謝の言葉もありません。
妻や母、私を支えてくれた人々と喜びをわかちあいたいと思います。
私たちの社会は、インターネットを中心として大きく変わりつつあります。小説の書き方、読み方も変化しています。その中にあってゆるぎない存在感を持った、先駆けとなるような作品を書いてゆきたいと思います。
最後に福山市と、福山市の皆様のさらなるご発展をお祈りいたします。(2011年5月)

近 況

 昨年はサイバーミステリに加えてSF長編など合計六冊を上梓した他、連載もふたつこなした充実の一年でした。
今年もサイバーミステリの長編に加えて、歴史改編物の長編などが進行中です。
書店でみなさまにお目にかかるのを楽しみにしております。(2018年3月31日)

著作品一覧

檻の中の少女(2011年5月 原書房)
サイバーテロ 漂流少女(2012年2月 原書房)
キリストゲーム(2012年4月 講談社)
式霊の杜(2012年6月 講談社)※筆名「いちだかづき」
式霊の杜 愚者の約束(2013年3月 講談社)※筆名「いちだかづき」
サイバークライム 悪意のファネル(2013年2月 原書房)
サイバーセキュリティ読本(2013年7月 原書房)
第1巻こちら、網界辞典準備室!『電網恢々疎にして漏らさず網界辞典』準備室! (2013年10月 技術評論社・電子書籍)
もしも遠隔操作で家族が犯罪者に仕立てられたら~ネットが生み出すあたらしい冤罪の物語(2013年10月 技術評論社)
絶望トレジャー(2014年11月 原書房)
天才ハッカー安部響子と五分間の相棒(2015年1月 集英社文庫)
ネットの危険を正しく知るファミリー・セキュリティ読本」(2015年3月 原書房)
マンガで知るサイバーセキュリティ オーブンレンジは振り向かない(2015年3月 原書房)
サイバーミステリ宣言!(2015年7月 株式会社KADOKAWA:共著)
個人情報ロンダリングツール=パスワードリスト攻撃シミュレータの罠 工藤伸治の事件簿番外編(技術評論社・電子書籍)
アンダーグラウンドセキュリティー1(カドカワ・電子書籍)
ノモフォビア(キリック・電子書籍)
ベスト本格ミステリ2016 収録「サイバー空間はミステリを殺す」(アンソロジー 2016年6月 講談社)
女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険(2016年7月 集英社)
原発サイバートラップ:リアンクール・ランデブー(2016年8月 原書房)
サイバー戦争の犬たち(2016年11月 祥伝社)
サイバーセキュリティ読本【完全版】ネットで破滅しないためのサバイバルガイド(2017年5月 星海社)
御社のデータが流出していますー吹鳴寺籐子のセキュリティチェック(2017年6月 早川書房)
ウルトラハッピーディストピアジャパン 人口知能ハビタのやさしい侵略(2017年7月 星海社)
犯罪「事前」捜査 知られざる米国警察当局の技術(2017年8月 角川新書)
公開法廷 一億人の陪審員(2017年10月 原書房)
内通と破滅と僕の恋人―珈琲店ブラックスノウのサイバー事件簿(2017年11月 集英社)
大正地獄浪漫1(2018年8月 星海社)
原発サイバートラップ(2018年8月 集英社文庫)
フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器(2018年11月 角川新書)

his_b_photo10

植田文博(うえだふみひろ)

1975 年、熊本県生まれ。東京都在住。会社員。

第6回受賞作

経眼窩式

his_b_img10

2014年5月 原書房

「あんたは、最低だな」  古ぼけたアパートの一室で再会した父親は、日常生活もままならない変わり果てた姿となっていた――。遠田香菜子は、そこで偶然出会った青年とともにアパートの調査を開始する。そんな彼らに、ある男が近づいていた。そしてそれを、ある女が監視していた。やがてふたりは、凶悪事件の壮大な陰謀と、初めて芽生えた感情の渦に呑み込まれてゆく。

著者よりひとこと

 欲するままに書き続け、自身の中にあるものは、裏打ちのない自信としつこさだけでした。そんな中で自分という存在を見つけていただいた皆様に、心から感謝しています。
今後は島田先生や編集者の方々の助言を得て、読んでよかったと感じていただけるものを作っていけたらと思っています。(2014年5月)

近 況

 今年はスカイダイビングを体験しました。 当日、眠気を感じるほどの緊張をかかえながら、インストラクターと小型飛行機へ。コクピット助手席に座ります。飛行機のコクピットといえば、大型旅客機のオートマティックなイメージでしたが、目の前のそれは、『紅の豚』ばりのほぼすべてがマニュアルのセスナ。すべてを手作業でこなしながら離陸。高度三八〇〇メートルの世界へ。ちょうど富士山頂くらいの高さです。
 降下開始のアナウンスとともに、機体側面が開放されます。差し込む日差し、強風と轟音。歓声とも悲鳴ともつかない声をあげながら、一人、また一人と落下してきます。最後に自分もインストラクターに抱えられ、機外へ。
 青い世界が一回転して頭が下へ、地面に向かって急激な加速開始。弾丸のように大気を切り裂き、興奮による叫びも、つぎつぎと後方へ置き去りにされていきます。
 パラシュート展開。身体が上空へひっぱりあげられるようなショック。景色を眺めながらの着地。
 強烈な体験でした。人生に一度はお勧めです。Twitterに動画を投稿しています。
 昨年の八月、「原宿コープバビロニア 心臓より大切な」を上梓させていただきました。新しいプロットもできあがりそうです。(2018年3月31日)

著作品一覧

経眼窩式(2014年5月 原書房)
エイトハンドレッド(2015年5月 原書房)
心臓のように大切な(2017年8月 原書房)