受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

平野俊彦(ひらのとしひこ)

1956年、栃木県足利市生まれ。八王子市在住。薬学部教授として教育研究に従事しながらミステリーを執筆。

第13回受賞作

報復の密室

2021年 講談社

多摩薬科大学大日方教授の娘千佳が、施錠された教室で首を吊った。警察は、自殺を装った殺人事件として捜査を始める。
千佳は生前、ミステリー賞に応募中の人物と付き合っていたという。大日方は、旧友の出版社長の協力を得て新ミステリー賞を立ち上げ、やがてその応募者の中に思わぬ人物を見出す。大日方が、学内の遺伝子組み換え実験室にその人物を呼び出そうとした時、完全な密室と化した実験室内で奇怪な第二の殺人が起こる。

著者よりひとこと

この度は、素晴らしい本格ミステリーの賞である本賞を受賞させて頂きましたこと、誠に身に余る光栄に存じます。島田先生を始め選考委員の皆様、福ミス関係者の方々、出版社の方々、そして福山市の皆様に、心よりお礼申し上げます。自分が著した本格ミステリー小説によって、多くの読者を驚かせることが私の夢でした。これから島田先生や出版社の方々のご指導を頂きながら、より良い作品を書き続けることに期待を膨らませています。

近 況

 信州上田に移住して4年目を迎え、こちらの環境にも慣れて来ました。そこで今年度は執筆に専念できるかと思いきや、治験審査委員会や卒後教育講座などからオファーが来て、自分としては結構多忙な一年となりました。そんな中、昨年10月に旭川で開催された第49回日本臓器保存生物医学会という臓器移植関連の学会にて、「薬学とミステリー」というタイトルの特別講演を依頼され、福ミスの紹介も含めて40分の講演ができたことは、自分なりに一つの成果だったと思っています。
さてこの一年間の出版状況ですが、昨年はミステリー長編を二編出版しました。また本年1月には、推理好きの若い女性薬剤師の奮闘を描いた連作短編集一作が出版されます。一方本年2月からは、2年間の予定で東京都薬剤師会が発行する「都薬雑誌」という月刊誌にて、ミステリー小説に関する自作イラスト入りエッセイの連載を始めます。この連載を通じ、都内の薬剤師の方々に、ミステリー小説や福ミスのことを広く知ってほしいと思っています。
最後になりますが、現在新たなミステリー小説のプロットを練っているところです。具体的には、薬局を舞台としたホラーミステリーや、時空遡行と密室殺人を扱った本格ミステリーなどに想いを馳せる毎日です。(2024年3月)

著作品一覧

報復の密室(2021年2月 講談社)
幸福の密室(2021年9月 講談社)
ユダの密室(2023年3月 日本橋出版)
冒瀆のキメラ(2023年3月 アメージング出版)
薬師寺ロミの推理処方せん(2024年1月 講談社)