受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

川辺純可(かわべすみか)

広島県呉市生まれ。日本女子大学文学部卒。京都府在住。

第6回優秀作

焼け跡のユディトへ

2014年11月 原書房

 戦後間もない瀬戸内のとある軍港都市を舞台に起こる連続婦女殺人事件。 被害者には能面が被せられていたという。 やがて被害者にある共通点があることが分かり、それによって「次の被害者」が絞れていくのだが……。

著者よりひとこと

 新刊が出た日は鬼のごとく野暮用を片づけ、リアルタイムで味わう幸運を噛みしめつつ、一路、島田ワールドへ! 本が厚ければ厚いほど福福。思えばずっと心躍る旅人でした。 まさにその島田先生から「優秀作」という栄誉を頂くなんて夢のようです。 いつか私も私独自の世界を創造すべく、福ミスの名に恥じぬよう日々精進を重ねてまいりたいと存じます。このたびは本当にありがとうございました。(2014年11月)

近 況

 昨年に引き続き、金魚について。
 趣味が高じ、ネットのお買い得商品に、活魚店の店頭水槽「日本海三号」(税込み178万円)が出現した夏。新種交配を生業とする、金魚売りの話を書きたいな、と思い始めました。もちろん、メインは猟奇殺人と謎解き。どこかに需要、ありませんかしらん。

 さて、魚の飼育は、餌と同じくらい「水」の管理を要とします。
 汚れた水を分解し、無害にしてくれるバクテリア。彼らは魚の排泄物や食べ残しを糧に生きています。バランスが崩れると、それまで無害だった常在菌までが悪さを始め、あっという間に病気が出てしまうのです。
「地球環境も同じ……」なんて、野暮なことは申しますまい。
 アクアリストは、整うまでひたすら水作りに精を出します。我々の求めるバクテリアとは、「目には見えねど、確かなる恩恵」。そう、まるで「愛」のごとく、複雑で奧が深いものなのです。
 あ、そういえば、水質管理のパイオニア、ウォーターエンジニアリングさんは福山発。私も長く、お世話になっています。福ミスと同じく、福山市との有り難いご縁ですね。(2024年3月)

著作品一覧

焼け跡のユディトへ(2014年11月 原書房)
時限人形(2016年9月 原書房)
三毛猫ホームズと七匹の仲間たち(2019年7月 論創社)
ミズチと天狗とおぼろ月の夢(2021年8月 南雲堂)
十津川警部と七枚の切符(2022年11月 論創社)