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第14回 選考過程・選評
応募総数
76
第1次選考通過作品
率然者
高山よしき
選評
担当編集者
メインの謎にたどりつくまでにページ数がかかる点が気になります。読ませる文章なので途中で飽きてしまうということはありませんでしたが、事件解決までなんとなく進んでしまう印象がありました。読ませるし、きれいにまとまっているだけあって、もったいなく感じます。
第1次選考通過作品
終末期医療施設に医師と看護師は何人必要か
田中史明
選評
担当編集者
大掛かりなトリックに挑もうという姿勢に好感がもてました。しかし、成功しきらなかった部分があると思います。特に会話において、キャラクター同士の書き分けが弱かったように思います。読者を勘違いさせる必要があるのはわかりますが、まずは各々の特徴がしっかりわかるからこそ、トリックが際立つのではないでしょうか。
第1次選考通過作品
サタニック
三島タカヲ
選評
担当編集者
どこか、海外ドラマのエピソードのつぎはぎのように感じました。事件自体や刑事、少女に対する心理学的な分析合戦も、これらは現在の学説に基づくものなのかなど、疑問を持ちました。また少女自身の意志が見えず、便利なコマとして配置されているだけのような印象を受けました。
第1次選考通過作品
最後から二番目の殺人
中孫子英也
選評
担当編集者
大雪によって推理作家たちがホテルに閉じ込められるという舞台設定からミステリー合戦になるかと思いきや、肉弾戦の多い物語展開には驚きました。しかし最後の部分で、回想録という形で事件の詳細が明かされるのは興ざめです。別の提示の仕方を考えてほしいです。
第1次選考通過作品
まばゆい錆
澁戸なずむ
選評
担当編集者
記憶喪失の男性と女性週刊誌記者、それぞれの視点で物語を描きつつ、タイトルに繋がる「錆を抱えて生きる」人々を描く意欲作でした。惜しいのは、会話をはじめどの人物の描き方も同じようなテンションになっていることで読みづらくなってしまったところです。
第1次選考通過作品
ジャンヌ、聞こえますか
野島夕照
選評
担当編集者
著者の持つ美意識がまず下地にあり、そこに本格ミステリーをうつした意欲作でした。しかしミステリーとしてはトリックがやや単純で、謎も小さく、その手法も使い古された感がありました。手法の必然性も感じられず、もったいない気がいたしました。
第1次選考通過作品
アイリスの庭
桐島裕
選評
担当編集者
DVに追い詰められる女性の視点はスリリングで、つかみと前半のテンポは良かったと思います。しかし次々と真実が明かされていくだけの展開と、会話だけで説明しようとする文章が、全体的に平板なトーンを作ってしまいました。「手がかりをもとに推理する」を意識して書くことをおすすめします。
第1次選考通過作品
フランクフルト殺人旅情
吉田右京
選評
担当編集者
丁寧に描かれたトラベルミステリーで読んでいて好感が持てました。登場人物の背景をしっかり描いていた反面、そのときその人物はほんとうにそう動くか? と疑問に思った部分も多く、また構造的な驚きもなく、もうひとつ個性がほしいと思いました。
© FUKUYAMA MUSEUM OF LITERATURE