学生時代の秘密が時を越えて暴かれるという枠組みには魅力を感じますが、登場人物たちが類型的すぎるように思います。また、たんなる事実の羅列ではなく、読ませる地の文というものを考えてみてもよいかもしれません。
主人公が真相を探り当てていく様子が「霊能」による捜査というよりも「勘」のように見えてしまいました。また、本作の応募時点ですでに終了している東京オリンピックが絡めてあること、現代が舞台であるのにコロナにまったく触れられていないことに違和感を覚えました。
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