◆作者
松嶋 チエ(まつしま ちえ)
◆作者プロフィール
1961年生まれ。大阪府枚方市在住。
2005年「北日本文学賞」、2006年「織田作之助賞」受賞。
◆受賞作概要
梓凪子は、三十三歳で独身。元女性警察官で現在は大手町興信所に勤めている。
ある日、甥である中学生の輝也が屋上から飛び降りた。姉の未央子とのあいだには根深い確執があるが、ある条件と引き換えに、自殺の理由を調べることになった。
教師らだけでなく、輝也の親友や未央子さえもなにかを隠そうとするなか、凪子は、持ち前のホットでタフな気性を武器に、興信所の所長や年下の同僚、同期の女刑事らをも巻き込みながら、真相を明らかにしていく。
(左から、島田荘司先生、松嶋チエさん、枝広直幹実行委員会委員長)
「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 第10回受賞作」の発表記者会見を、10月27日、枝広直幹実行委員会委員長、島田荘司先生、受賞者の松嶋チエさん、協力出版社3社の出席のもと、ふくやま文学館で行いました。
◆島田荘司先生選評(抜粋)
「女性ハードボイルドの収穫と評価すべき佳作。巧みな文章、的確な表現語彙の選択、ユーモアや皮肉表現の安定と達者ぶり、ストーリー進行上に配された喜怒哀楽の巧みなバランス、傷もなく、大きな不満も感じず、怒りと暴力表現も必然的で、着地まで一気に読むことができた。
暴言暴力が世を騒がす新世紀、社会進出女性へのこの国の偏った行儀強制の虚構が露見、崩壊し、反動も手伝って、ついに女性版のハードボイルドが、これだけの完成度を持って登場してきたことに、思わず満足の笑みとともに拍手を送る気分になった。日本になみいる男性ハードボイルド作家の友人たちは、この作をどのような気分で迎えるのであろうか。読ませるのが楽しみではある。」
◆松嶋チエさんコメント
「ミステリー小説が好きで,ずっと書き続けてきましたが,結果が出ないことに疲れ,ミステリーを書くのをやめようかと思い始めていました。
今回の作品は,そんな思いと共に仕上げたものです。
それが今回,このような賞をいただけたということは,わたしにとっては正に奇跡を見るような驚きであり,望外の喜びです。
わたしの途絶えかけた気持ちを太い糸で繋ぎ留めてくださった,島田荘司先生や関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
このタイミングで授かったチャンスを大切にして,気持ちを新たに,更なる飛躍を目指して書き続けていこうと思います。」
◆受賞作の出版は2018年春予定
受賞作品は,今後,島田先生の指導のもとに推敲され,2018年春に講談社から出版される予定です。
◆表彰式は2018年5月(予定)
第10回表彰式を,来年5月に開催する予定です。(詳細は未定)
最終選考に残った3作の島田先生の選評と第1次選考通過作品(最終選考作品を除く)の担当編集者による選評は,近日中に掲載します。
掲載しましたら,こうもり通信でもお知らせしますので,どうぞお楽しみに。
今後とも,福ミスをどうぞよろしくお願いいたします。
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(すぐには掲載されませんので、ご了承ください。)
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