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第回 選考過程・選評
応募総数
第1次選考通過作品
413(よんいちさん)
小早川真彦
選評
担当編集者
気象の知識を多用したシーンに説得力があり、強い牽引力となっていました。文章も飾りがなくて読みやすく、技量を感じます。ただ、恋愛や人間関係のドラマ部分があまりにも紋切り的なことは大きなキズです。力強く他の作品を押しのけるような、実感のこもった物語に挑戦されることを強く期待します。
第1次選考通過作品
恐怖、絶望、そして愛
尚原安彦
選評
担当編集者
謎の存在の復活のために依代を探している教団がいる、という大きな物語を信じさせる工夫があまりに少なく、常に入り込みそこねていた印象です。失踪した友人を探しているうちに裏の社会へと踏み入れていく流れは魅力的なだけに、借り物ではない、これなら描けるという題材で挑んでほしかったです。
第1次選考通過作品
東山挽歌行
久鬼遥風
選評
担当編集者
京都を題材にした小説としての密度は十二分でした。が、明らかに詰め込みすぎです。残念ながら、なんのための物語なのか中盤まで判然としませんでした。最初から倶楽部を中心に据えて、その存在を読者に本気で信じさせるくらいの熱量で描けば、それだけですごい物語になるのではないでしょうか。
第1次選考通過作品
冷たい棘
柚木原涼平
選評
担当編集者
過去のミステリー作品でも名作の多い誘拐というネタに挑み、それをさらに展開させている点が高く評価できます。一方で、登場人物が多くそれぞれの事情について掘り下げていることから、散漫な印象もあります。必要な描写とそこまででもない描写を、よく考えて書いてみてください。気になった点は、10年近く前に公開された映画が最近見た映画として登場していることです。再応募作でしたら、このあたりも注意して修正をしてください。
第1次選考通過作品
白い霧の中で
小早川真彦
選評
担当編集者
気象を用いたトリックに興味をひかれるものの、犯行の動機、警察側の人物たちの行動の理由、容疑者たちの事情などが陳腐で、気象とはまったく関係のないものになっています。せっかく独特のトリックを考えられるのですから、それを生かせる舞台を考えてみてください。また、なぜ時代設定がリオデジャネイロ・オリンピックの年なのでしょうか。この年でなくてはいけない理由がないのだとしたら、過去の作品に手を入れずに投稿しているように見えてしまうので、注意してください。
第1次選考通過作品
曽根松家
野乃はるか
選評
担当編集者
一族の秘密に関するミステリとして、重々しい雰囲気がよく出ていると思いました。その一方で、どんなことを謎として追っているのかがわかりづらく、少々読み進めるのに苦労しました。また、この物語がいつの時代を舞台にしているのかも気になりました。血縁関係が複雑に絡み合っていることが物語の鍵ですが、このようなことが実現するのは時代のせいなのか、地域の特性なのかという疑問が残ります。フィクションではありますが、本当らしく見えるようにしてもらいたいです。
第1次選考通過作品
銃口を咥えて眠れ
早乙女亮
選評
担当編集者
文章も悪くないし物語も順序よく進んでいくけれども、目新しさを感じませんでした。物語重視の姿勢は良いのですが、ストーリーに当てはめたような人現関係は、読者にはご都合主義と映るかもしれません。その点はたとえば登場人物をもう少し整理(減らす)だけでも見えてくるものがあるような気がします。
第1次選考通過作品
革命島
山野裕貴
選評
担当編集者
スラップスティックには、しっかりとした物語の背骨と読者を引っ張るリズムが必要だと思います。背骨とリズムがあれば「あり得ないくらいの偶然」も「千載一遇」と読者は理解すると思います。そのあたりの深みを作品から読み取ることができませんでした。
© FUKUYAMA MUSEUM OF LITERATURE