第16回 選考過程・選評応募総数61

第1次選考通過作品

イラズノモリ巴瀬川 弦

選評担当編集者

土着的な怪奇譚をベースにする場合は、よほどしっかりした物語の骨組みを作らないとミステリーとして弱くなってしまうと思います。この作品は伝承に引っ張られすぎて物語自体の面白さ、展開力が薄まっています。伝承のために構成があちこちに飛んでなかなか読みづらい面があります。冒頭の謎の描写がとても面白く、期待していたので残念な印象が残りました。

第1次選考通過作品

ただのワナビはかく語りき。槙島 聖

選評担当編集者

ミステリーというより、サスペンスの印象が強い作品でした。作中作などの仕掛けには意欲を感じましたが、構造的な仕掛けを意識するあまり、謎と解決の面白さが有耶無耶になってしまっているように感じられました。登場人物の設定や物語の展開を、今一度整理いただくと良いかもしれません。

第1次選考通過作品

祭りは終わる雫 めいな

選評担当編集者

応募規定(文字組等)に即したかたちに整えた、原稿をお送りいただけますと幸いです。リアリティショーを舞台に描くという発想は面白く、素敵な着眼点だと思いました。こちらの作品も「ミステリー」とういう枠組みに入るのか悩ましく、まずはジャンルに寄せたりこだわらずにご自身が一番書きたい作品を書ききっていただきたいです。

第1次選考通過作品

永遠の午睡宮川 隆

選評担当編集者

不可能状況での連続殺人事件という設定は魅力的でしたが、キャラクターの動きや思考が深まっておらず、物語を牽引する力に欠けてしまいました。情報の収集や、推理の過程を、読者がさらにワクワクする形で描くにはどうすると良いかを意識していただきたいと思います。

第1次選考通過作品

魔王探偵アルトゥール清水 七帆

選評担当編集者

文章もよく、キャラクターも魅力的で、世界観も作り込まれていました。リーダビリティも高く、おもしろい小説でした。しかしミステリー仕立てではあるものの、解決の流れに疑問を感じる点も多く、ミステリー小説として選考することが難しいという判断より、惜しくも最終選考に進みませんでした。

第1次選考通過作品

燃えるラグーン織江 耕太郎

選評担当編集者

端正な文章でリーダビリティが高く、読者が初めて知るようなことも過不足なく、わかりやすく説明されていました。しかし魅力的な謎や鮮やかな解決、真相を究明したいという衝動など、ミステリーに必要な要素が欠けているように思いました。

第1次選考通過作品

少女と呪文と魔法のペンと高清水 涼

選評担当編集者

事件から捜査、推理、解決へと進む流れはオーソドックスなもので、安心して読むことができました。しかし登場人物も類型の域を出ず、会話文が説明的かつやや冗長、ミステリー部分とドラマの結びつきもやや弱いように感じました。著者ならではの個性をもう少し感じたいです。

第1次選考通過作品

鳳凰のミステリー甲野 論坊

選評担当編集者

気に入らないという理由で宗教団体にいいがかりをつけ、女性蔑視を随所に挟みながら進んでいく物語に、どこにおもしろさを見出せばいいのか、わかりませんでした。また、事件の詳細が犯人の語りで明かされるのは残念でした。