◆福ミス第7回受賞作「たとえ世界に背いても」
◆作者
神谷一心 (かみやいっしん)
◆作者プロフィール
1980年生まれ。同志社大学法学部法律学科卒業。2004年,行政書士試験合格。2009年,第16回電撃小説大賞にて「精恋三国志 Ⅰ」で電撃文庫MAGAZINE賞を受賞。
◆受賞作概要
20XX年の冬,スウェーデンのストックホルムではノーベル賞受賞者を祝う晩餐会が開かれていた。祝宴の最中,ノーベル医学・生理学賞の受賞者である浅井由希子博士は,壇上で紫斑性筋硬化症候群という奇病について語り始める。彼女の息子はその奇病に冒されていたのだ。参列者の誰もが息子の治療の為に研究し続けた母親の言葉に感動した。しかし,彼女は美談の果てにこんな言葉を解き放つ。「私の息子は自殺したのではありません。長峰高校の元一年B組の生徒達に苛め殺されたのです」と。こうして,天才医学者による人類史上,未曾有の復讐劇が幕を開けた。
島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 第7回受賞作の発表記者会見を,10月24日,羽田皓実行委員会委員長,島田荘司先生,受賞者,協力出版社3社の出席のもと,ふくやま文学館で行いました。
(左から,島田荘司先生,神谷一心さん,羽田皓実行委員会委員長)
◆島田先生選評(抜粋)
「残酷ないじめと殺害事件の発生から,これに報復する肉親の一途な行動,そして見事なその成就,という単純構造であるから,小説は猛烈なエネルギーで,こちらを一気に結末まで引っ張ってくれる。本賞受賞相当の達成感となれば,今回はこの作以外に考えられないであろう。」
◆神谷さんコメント
「この度は「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という素晴らしい賞を頂き,光栄に思っています。島田先生,事務局の皆様,一次及び二次選考に関わって下さった皆様に心よりお礼を申し上げます。今から二十年前,まだ中学生だった頃から,いつかミステリー小説を書きたいと思っていました。そのチャンスを与えて下さった皆様の期待に応えられるようにこれからも努力していきたいと思います。」
◆受賞作の出版は2015年春予定
受賞作品は,今後,島田先生の指導のもとに推敲され,2015年春に講談社から出版される予定です。
◆表彰式は2015年5月(予定)
第7回表彰式を,来年5月に開催する予定です。(詳細は未定)
また,このたび,次の作品を優秀作として顕彰することを決定いたしました。
●優秀作(1作)
「ベンヤミン院長の古文書」
●作者
金澤マリコ (かなざわまりこ)
●作者プロフィール
1958年千葉県生まれ。静岡県在住。上智大学文学部史学科卒。現在は高校の非常勤講師として世界史などを担当。
●優秀作概要
2009年,エジプト人のソテル二世が新しいローマ教皇に選出されると,『守護者』と名のる者たちがバチカンに現れる。彼らは,7世紀のコプト派修道院院長ベンヤミンが,古代アレクサンドリア図書館の秘密を守る使命を託した三名の継承者であった。失われたとされてきた貴重な書籍の発見に向けて,ソテル二世は『守護者』と共にプロジェクトチームを立ち上げる。一方,宗教家モーゲンソーやバチカンの保守派もそれぞれの思惑のもとに動き始める。
●島田先生選評(抜粋)
「この作者が,自らの半生をかけて生真面目に追跡し,構築した一世一代の力作を,ある情熱とともにこの小さな賞にあずけてきた思いが,こちらには痛いほどに理解された。そして猛烈な共振とともに,そうした思いに共鳴せざるを得なかった。」
●金澤さんコメント
「優秀作のお知らせをいただき,たいへん光栄に思っております。島田荘司先生,選考段階で作品を読んでくださったすべての方々,事務局の皆様に心より感謝申しあげます。「物語を書く人になりたい」という希望を持ったのは高校生の頃だったと記憶しますが,自分には無理と勝手に決めつけていました。いまようやく,その夢が形をとりはじめたようです。書いてよかった! 面白い作品をめざしてこれからも書き続けたいと思います。」
優秀作については,出版を前提とはしておりませんが,今後の改稿次第で出版の可能性があるものです。
島田先生のアドバイスでさらに磨きをかけられた受賞作・優秀作が店頭に並ぶ日が,今からとても楽しみですね。
なお,優秀作者の金澤さんは,来年5月の表彰式にお招きする予定です。
最終選考に残った4作の島田先生の選評は,近日中に掲載します。
掲載しましたら,こうもり通信でもお知らせしますので,どうぞお楽しみに。
今後とも,福ミスをどうぞよろしくお願いいたします。
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(すぐには掲載されませんので、ご了承ください。)
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