◆福ミス第6回受賞作 「フロンタルローブ」
◆作者
植田 文博 (うえだ ふみひろ)
◆作者プロフィール
1975年、熊本県生まれ。東京都在住。会社員。
◆受賞作概要
義眼であることを引け目に感じ、人と上手く話せない遠田香菜子は、ある時、義眼の原因であり十三年前に失踪した父親が「メゾン・アラキ」という怪しげなアパートで暮らしていることを突きとめる。まともに話も出来ない状態に成り果てた父との再会に困惑する中、同じくアパートに親戚がいるという楡川降也と出会い、「メゾン・アラキ」の住人全員が父と同じ認知症のような状態にあることを知る。ともに調査を進めるうち、楡川に惹かれていく遠田だったが、一方で、彼の言動に一抹の疑念を抱き始める。
島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 第6回受賞作の発表記者会見を、10月25日、羽田皓実行委員会委員長、島田荘司先生、受賞者、協力出版社3社の出席のもと、ふくやま文学館で行いました。
記者会見は終始和やかな雰囲気の中で終了。そのようすを少しご紹介します。
(左から、島田荘司先生、植田文博さん、羽田皓実行委員会委員長)
(植田さん初あいさつ。少し緊張気味かも?) (会見後半、島田先生の言葉に笑みがこぼれる場面も)
◆島田先生選評(抜粋)
「この物語の優れた点は、公的には滅んだと思われていたこの術式を、昨今話題の「貧困ビジネス」と結びつけ、現実社会に置いてみせて、生じるであろうさまざまな悲劇をシミュレーションして見せた、まれな着眼にあると思う。結果として、かつての清張流自然主義とはまた違った意味での、考えさせる社会派作品が現れた。」
◆植田さん受賞コメント
「内奥の欲するままに追い続け、自身にあるものとすれば、しつこさだけでした。「しつこい」という諸刃の剣で書くことを止めず、そんな中で自分という存在を見つけていただいた皆様に、心から感謝しています。今後は、島田先生や編集者の方々の助言を得て、読んでいただいた方に読んでよかったと感じていただけるような小説を作っていけたらと思っています。」
◆受賞作の出版は2014年春予定
受賞作品は、今後、島田先生の指導のもとに推敲され、2014年春に原書房から発表される予定です。
◆表彰式は2014年5月(予定)
第6回表彰式を、来年5月に開催する予定です。(詳細は未定)
また、このたび、記念すべき第6回受賞作決定とあわせて、
最終選考に進まれた残り3作についても優秀作として顕彰することを決定いたしました。
優秀作3作は次のとおりです。
●優秀作(3作)*順不同
「麝香草荘のユディト(たいむそうのゆでぃと)」/川辺純可(かわべすみか)
「dog pound(どっぐ ぱうんど)」/若月香(わかつきかおり)
「ビリーバーの賛歌(びりーばーのさんか)」/明利英司(めいりえいじ)
優秀作については、当初の予定にございませんでしたので、正賞としてのトロフィーはなく出版も前提とはいたしません。
ただし、今後の改稿等の状況によっては、出版の可能性もあるものです。本新人賞から、再び複数の作品を世に送り出せる機会を得られたことを、事務局としても大変喜ばしく思っております。
2014年5月に予定しております第6回表彰式には、受賞者の植田さんはもちろん、優秀作の作者である川辺さん・若月さん・明利さんにもお越しいただく予定ですので、どうぞお楽しみに。
島田先生のアドバイスでさらに磨きをかけられた受賞作・優秀作が店頭に並ぶ日が、今から待ち遠しいですね。
先生の選評(全文)は、近日中に掲載します。掲載しましたら、こうもり通信でもお知らせしますので、楽しみにお待ちください。
今後とも、福ミスをどうぞよろしくお願いいたします。
* 書き込まれた内容につきましては、掲載前にチェックを行います。
(すぐには掲載されませんので、ご了承ください。)
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