受賞者・優秀作者の紹介

島田荘司選 ばらまち福山ミステリー文学新人賞では,受賞作品は協力出版社から即時出版されることになっています。
また、特別に設けられた優秀作も,随時,協力出版社から出版されています。
ここでは、今までの受賞者・優秀作者のその後の活動等を紹介します。

深木章子(みきあきこ)

1947年8月2日生まれ。東京都出身。東京都在住。

第3回受賞作

鬼畜の家

2011年4月 原書房

 「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。その母親も自動車もろとも夜の海に沈み、末娘だけが生き残ることになった。 母親による巧妙な殺人計画、娘への殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、娘の口から明らかにされてゆく。

著者よりひとこと

 人は実現可能性のない夢は見ない……この言葉を知ってはいましたが、こんなにも早く夢が実現するとは思いませんでした。
人生は本当に何が起きるかわからないもので、体が不自由になり、60歳で現役を退くまでは、推理小説とはあくまでも「読む」もので、「書く」などという離れ技は、自分とは別世界の特殊な頭脳の持主がなさることだと思い込んでおりました。
 振り返れば、昨年の10月、福ミス受賞内定の電話をいただいて以来、未知との遭遇の連続です。何とか、無事この日を迎えることができましたが、今後の厳しい道程を考えますと、身が引き締まると同時にそら恐ろしい気がいたします。
 こんな頼りない新人作家ではございますが、あたたかい目で見守っていただけましたら幸いです。どうか、宜しくお願い申し上げます。(2011年5月)

近 況

 コロナ禍による引きこもり生活もここまで長引くと、足腰の衰えはもちろん、頭の回転もすっかり鈍くなった気がします。やっぱり人間には健全な社会生活が必要だと実感するこの頃です。
 福山にもすっかりご無沙汰していますが、瀬戸内の穏やかな海や薔薇祭りが懐かしいです。昨今の異常気象や、何かと騒がしい世の中が早く落ち着いてくれることを願ってやみません。(2024年3月)

著作品一覧

鬼畜の家(2011年5月 原書房/2014年4月 講談社)
衣更月家の一族(2012年3月 原書房/2015年3月 講談社文庫)
螺旋の底(2013年3月 原書房/2016年3月 講談社文庫)
殺意の構図 探偵の依頼人(2013年12月 光文社/2016年9月 光文社文庫)
敗者の告白 弁護士睦月怜の事件簿(2014年10月  KADOKAWA/2017年8月 角川文庫)
交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー(2015年6月 光文社/2018年4月 光文社文庫)
ミネルヴァの報復(2015年8月 原書房/2018年9月  角川文庫)
猫には推理がよく似合う(2016年9月 KADOKAWA/2019年8月 角川文庫)
敗者の告白(2017年8月 角川書店)
消人屋敷の殺人(2017年10月 新潮社/2020年5月  新潮文庫)
消えた断章(2018年3月 光文社/2021年3月 光文社文庫)
極上の罪をあなたに(2019年9月 KADOKAWA)
欺瞞の殺意(2020年2月 原書房)
罠(2021年1月 角川文庫)
灰色の家(2023年4月 光文社)